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古代エジプトに破壊をもたらした十の災い 『エクソダス:神と王』

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"十の災い"という旧約聖書に出てくる逸話がある。古代エジプトで奴隷だったヘブライ人を救うため、神が10種の災害をもたらしたというものだ。人々を導く使命を授かったモーゼが王に解放を頼むも受け入れられず、神はカエルやアブ、病気といった災いをもたらした......。

モーゼが自分の出生の秘密を知り、ヘブライ人を解放させるまでをリドリー・スコットが描いたのが『エクソダス:神と王』(2014)である。かつて同じ題材でつくられた映画に『十戒』(1956)がある。海がガバッと両端に分かれるシーンがパロディとしても使われるほど有名な、あの映画である。どちらも4時間に近い大作で素晴らしく迫力満点なのだが、リドリーのこだわりはリアリティーと映像力。科学的な考察で十の災いを分析する識者が登場するのも、現代版らしい演出でなかなか面白い。この災い、伝説などではなく、本当に起きた自然災害だったのではと推測する専門家も多いからだ。

当然かもしれないが、美術の面でも60年前のそれとは比べ物にならない。登場するピラミッドや神殿という3000年以上前のエジプト王朝の世界や、その周りで暮らしを送る人々の生活の様子がリアルに実感できる映像。聖書のことがわからなくとも、エジプトに興味があれば感動できるだろうし、それだけでも見る価値がある。完成度の高い旧作と比べることなく、それはそれ、これはこれ、という目線で、ぜひ。

(文/峰典子)

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