もやもやレビュー

他人の目を気にしすぎる人に、効力がある一本。『ブレックファスト・クラブ』

ブレックファスト・クラブ 30周年アニバーサリー・エディション ニュー・デジタル・リマスター版 [Blu-ray]
『ブレックファスト・クラブ 30周年アニバーサリー・エディション ニュー・デジタル・リマスター版 [Blu-ray]』
エミリオ・エステヴェス,モリー・リングウォルド,アリー・シーディ,ジョン・ヒューズ
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
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 「他人の目を気にするな」。自己啓発本や、さまざまな映画作品に、このメッセージが込められている気がします。たしかに、他人の目を気にしてしまうことで、自分の本来のチカラを出せなくなってしまうし、時に自分を見失ってしまうことも。でもやっぱり他人の目を気にしてしまうんです! と、なかなか自分を変えられない人におすすめしたいのが、1980年代に生まれた青春映画の金字塔『ブレックファスト・クラブ』。

 土曜日の早朝。休日にも関わらず学校に登校してきたのは、美人のクレア(モリー・リングウォルド)、スポーツマンのアンドリュー(エミリオ・エステヴェス)、優等生のブライアン(アンソニー・マイケル・ホール)、不思議キャラのアリソン(アリー・シーディ)、そして不良のジョン(ジャド・ネルソン)。5人を学校の図書室に呼び出したヴァーノン先生は、午後4時までの約9時間で「自分とは何か?」というエッセイを書くように命じます。トイレ以外は外出禁止。監禁状態で何も共通点のない5人は、衝突しながら次第に打ち解けていきます。

 思春期ならではの悩みが次第にわかっていくうちに、"高校時代の苦悩"はその人自体の骨組みを作っていくのだな〜としみじみ感じてしまいます。スポーツや恋愛、友情をあからさまに描いた "ザ・青春映画"というわけではなく、なんだかぼんやりとした雰囲気が続いていく。そんな作品なのにも関わらず、青春映画の金字塔になったのは、それぞれのキャラがリアルな思春期の(ちょっぴり過激な)悩みを持っているということ。「あの子は、スポーツマンタイプ」「不良タイプ」「ガリ勉タイプ」なんて決めつけられ、本人たちはそのラベルに頭を抱えているのです。そして、他人がつけたラベルなんて気にしないことが、どれだけ素晴らしいのかも教えてくれます。人の目を気にしすぎる人に、素敵な影響を与えてくれる一本です。

(文/トキエス)

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