もやもやレビュー

メンタル弱いと、いろいろ損する。『ガール・オン・ザ・トレイン』

ガール・オン・ザ・トレイン [DVD]
『ガール・オン・ザ・トレイン [DVD]』
エミリー・ブラント,レベッカ・ファーガソン,ヘイリー・ベネット,ジャスティン・セロー,ルーク・エヴァンス(,テイト・テイラー
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

 世界中でバカ売れしたミステリー小説を映画化した『ガール・オン・ザ・トレイン』。私も発売当初は速攻本屋さんに行ってゲットしたものの、洋書だし、独特な言い回しを理解するのに大変苦労した覚えがあります。でも読解しながらでもストーリーを知りたくなるくらい、あらすじが面白い! 本作の主人公はアルコール中毒の女性で、そしてメンタルが弱いという普通ならサブキャラでいそうなキャラクター。そんな主人公レイチェルを演じたのは『プラダを着た悪魔』や『オール・ユー・ニード・イズ・キル』で知られるエミリー・ブラントです。

 毎朝決まった時間に同じ電車に乗り、同じ席に座り、とある家を眺める。ちょっと悪趣味とも思える習慣を持つのは、夫と離婚し傷心中のレイチェル(エミリー・ブラント)。彼女はその家の夫婦を、自分が手に入れられなかった「理想の夫婦像」として、毎日眺めていたのです。しかしある日、彼女が目にしたのは「理想の夫婦」の妻、メガンの浮気現場。レイチェルは慌ててその家の最寄駅で降り、現場に向かいますが、そこで意識を無くしてしまうのです。これだけ聞けば、「かなりクレイジーな女」という印象ですが、そうなんです。レイチェルが抱えるのは深い傷を癒すためのアルコール問題。常に酔っ払っているため記憶も曖昧。だから普通やっちゃいけない、ということも感情に任せてやってしまいます。しかし、レイチェルがその浮気現場を目撃した日、メガンは失踪。そして間も無く死体で発見されてしまうのでした。

 メガンが失踪した日、レイチェルは現場近くにいて血だらけで気を失っていた......アリバイも記憶もないレイチェルは、もちろん警察から疑われてしまいます。「自分がやったのか?」自分自身のことがわからなくなるレイチェルは、メガンの夫であるスコットに接近し、真相に迫ろうとします。

 レイチェルの弱点は、ズバリメンタルが弱いこと。なおかつ「自分は人生のどん底にいる」状態のレイチェルには抵抗する力さえありません。側から見るとフラフラだし証言も曖昧だし、本当に危険人物。しかし、レイチェルが自分の記憶やメンタルと闘いながらも真相に迫る姿を見ていくうちに、「彼女は危険人物」から「彼女は犯人じゃないかもしれない」と観客の思考を変えてくれるのです。

 レイチェルのようにメンタルが弱いと、自分自身のことでさえ疑ってしまうし、味方が誰もいなくなってしまう...。それって結構大変なシチュエーション。それが本作を観た感想。もちろんセンセーショナルなストーリーラインは鳥肌急で面白いです! メンタル弱いと感じている方は自分に喝を入れるために本作を観てみるのもいいかもしれません。

(文/トキエス)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOK STANDプレミアム