グローバル時代に必要なのは"料理の腕"だった?『マダム・マロリーと魔法のスパイス』
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ベストセラー小説を『ギルバート・グレイプ』『ショコラ』のラッセ・ハルストレム監督、スティーブン・スピルバーグ製作で映画化した『マダム・マロリーと魔法のスパイス』。
舞台は南フランスの小さな田舎町。ミシュラン一つ星の老舗フレンチレストランの向かいに、訳あって故郷を追われたインド人のカダム一家がやってきて、インド料理店を開店させます。
老舗VS新参者、フレンチVSインド料理という対立の構図......。フレンチレストランのオーナーは夫を亡くして以来、店に人生の全てを捧げるくらい情熱をもったマダム・マロリー(ヘレン・ミレン)は、派手な電飾と騒がしいインド音楽に眉をひそめます。さらには、市場での食材の奪い合いも勃発していきます。
そんな一触即発の状況を打破したのは、料理でした。実は、カダム家の次男ハッサンは天才的な料理の才能を持っており、その才能に気付いたマダムが自分の店でフランス料理を教えたいとカダムのパパに願い出るのです。それをきっかけに、対立していたマダムと頑固なカダムパパも歩み寄っていきます。
たとえば各国首脳会談などでは、たいてい会食の機会が設けられますが、文化や伝統や人種も超えてのコミュニケーションにとって、"美味しい"という感性はけっこう重要なのかもしれません。例えばある国との間に政治的問題があったとしても、"美味しいから"という理由でその国の料理を食べるのは普通のこと。そして、おいしい料理がきっかけで、その国のイメージががらりと変わることもある。これからますます加速するグローバル社会に適応するために、私たちもまずは料理の腕を磨いておくのがいいかもしれません。
(文/森山梓)