嘘だらけの人にこっそり見せたい映画。『フォーン・ブース』
- 『フォーン・ブース [Blu-ray]』
- コリン・ファレル,キーファー・サザーランド,ラダ・ミッチェル,フォレスト・ウィテカー,ジョエル・シューマカー
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ビジネスや人間関係で、嘘を巧みに操り「人生ってちょろいぜ」なんて思っている人、自分をよく見せたいがために思わず小さな嘘をついてしまう癖がついている人などは少なくないと思います。そんな人にぜひ観て欲しいのが『フォーン・ブース』。ホラ吹き男がけちょんけちょんにされちゃうサスペンス・スリラーです。
主人公は、"自称"一流パブリシトとして忙しい日々を送っていたスチュ(コリン・ファレル)。彼はアシスタントを連れ、マンハッタン、タイムズスクエアでクライアントなどあらゆるところに電話をかけていました。超上から目線な態度で、嘘をつくことが悪いことだとちっとも思っていません。そんな彼がフォーン・ブースに立ち寄り、とある女優を口説くために公衆電話を使います。なんで公衆電話を使うのか......それは彼が結婚しているから。自分の携帯に履歴が残ると困るからです。なんというクソ男なのでしょう。口説くことに失敗したスチュは受話器をおきますが、そのあとすぐに公衆電話のベルがなり、思わず受話器を取ってしまいます。すると謎の男の声で「電話を切ったら殺す」という無茶苦茶な脅迫をされるのでした。
本作は、ガラス張りのフォーン・ブースで繰り広げられる密室スリラー。犯人がどこから自分を見ているかもわからない状態で、スチュは心理的に追い込まれていきます。パニック状態でFワード連発、そして涙しながら本音をむき出しにしていきます。その姿には、自分が嘘をついてきたこと、不倫を軽く思ってきたことなど、さまざまな後悔の念が見られます。スチュのように、嘘を巧みに使ってきた人が見れば、心に重く響くこと間違いなしです。
ちなみに、コリン・ファレルはアイルランド出身なのですが、本作ではアメリカ訛りの英語を完璧に使いこなしています。コリン・ファレルの熱演に、思わず手に汗握る本作は、サスペンス好きな人が純粋に楽しめる内容にもなっています。
(文/トキエス)