金に支配されている人への癒し効果がはんぱない。『イントゥ・ザ・ワイルド』
- 『イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]』
- エミール・ハーシュ,マーシャ・ゲイ・ハーデン,ウィリアム・ハート,ジェナ・マローン,ブライアン・ダーカー,ショーン・ペン
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家賃を払うため、大好きなファッションを身に纏うため、素敵なレストランに行くため......。さまざまな理由で毎日せかせかとお金を稼ぐことに必死になっている人は、このご時世少なくないのでは。フリーランスの私もそのうちの一人。毎日いくら稼げたのか、今月の支払いはトータルでいくらなのか等、生活の中でお金に関して頭を抱えることが多々あります。しかし、お金に支配されすぎて「お金って一体何?」と哲学的な考えまでに陥ってしまっている人にぜひとも観てもらいたい作品があります。それは、冒険家ジョン・クラカワー著のノンフィクション小説『荒野へ』を映画化した『イントゥ・ザ・ワイルド』。
裕福な家庭に育ったものの、お金や物をなに不自由なく与えてくる親に嫌気が差していたクリストファー・マッキャンドレス。大学を優秀な成績で卒業したあと、放浪の旅に出ることを決意します。多額の学資金を寄付し、身分証を捨て、持ち金を燃やし、旅に出たクリストファーは、旅路の途中でさまざまな人と触れ合いながらアラスカへ。そして、アラスカで乗り捨てられたバスを発見し、その車内で孤独な生活を始め、幸せとは何かを考えます。
旅の途中、資金が必要になったら、ちゃんと仕事を探し、労働してお金を稼いで旅を続けるクリストファー。私がクリストファーの立場だったら、最初の持ち金を燃やしたことを絶対に後悔します。しかし、新たな経験を全てポジティブに受け入れ、またお金が一番大事という考えを持っていないクリストファーは、まったく後悔せず、むしろ旅を思いっ切り自由に楽しんでいるのです。そんな彼の行動を客観的に観ていると、お金への価値観が随分と変わっていきます。もちろんこの世界、お金を稼ぐことは大切ですが「自分の中の優先順位、なんか間違えている気がする......」と、改めて自分の人生とお金の関係性を考え直したくなります。
また本作では、アラスカ山脈の広大な景色、素晴らしい自然を感じることができるので、癒し効果がはんぱないです。自給自足で生きていくことの過酷さ、お金に狂わされた家族の愛情など、人生の厳しさも同時に目の当たりにできるので、観終わった後は、一体自分にとって何が大切なのか、深く考えたくなること間違いなし!
(文/トキエス)