恋愛の面倒な部分を避けた見事な関係。『ステイ・フレンズ』

　一人の時間が奪われる、嫉妬などマイナスな感情が生まれる、相手の心理を読み取ることが難しい......などなど、さまざまな理由で恋愛が面倒に感じてしまう人は現代増え続けているようです。独り身って楽！もうパートナーなんていらない！なんて思っている人同士が恋愛すると、一体どうなるのか。そんな恋愛関係をキレイごとなしで描いた作品『ステイ・フレンズ』は、恋愛が面倒に感じてしまう人に最適な作品なのです。

　ロサンゼルスの敏腕アート・ディレクターのディランは、ニューヨークでヘッドハンターをしているジェイミーから連絡を受け、有名誌GQで働くことに。ロサンゼルスとニューヨークという、まったく育った環境が違う２人の共通点は、多くの恋愛に失敗してきたということ。もう恋愛なんて面倒だ...という２人はすぐさま意気投合！　恋愛感情なしのセックス・フレンド関係に発展します。

　恋愛に臆病な２人には、"生半可な気持ちで人と付き合えない"という本気の恋愛を求めているという共通点も見え隠れしています。しかし、互いのプライドがその素敵な本心を隠したまま、セフレという関係を築いてしまうのです。前述した、「相手の心理を読み取る」など、恋愛関係だと面倒なことが、この２人の間には一切なし。言いたいことは直接言える"友達"という関係。そのため心から支え合う、ある意味普通のカップルよりも素敵な関係が築かれているのです。一見羨ましい関係のようにも思えますが、お互いを思いやる心が、徐々に２人の心境に変化をもたらします。

　「恋愛が面倒」と感じやすいイマドキの男女が、ディランとジェイミーの心境の変化を観れば、きっと「真剣な恋愛をもう一度してみたい！」と恋愛欲が増すこと間違いなしです。

（文／トキエス）