もやもやレビュー

好きな人の過去が気になって夜も眠れない人は、『コントロール』を観てみよう。

コントロール APS-64 [DVD]
『コントロール APS-64 [DVD]』
レイ・リオッタ,ウィレム・デフォー,ミシェル・ロドリゲス,ティム・ハンター
アートポート
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 付き合った人の過去が気になって気になってしょうがない!という人にぜひ見て欲しい映画『コントロール』。『アイデンティティー』のレイ・リオッタと『スパイダーマン』のウィレム・デフォーという2人の個性派俳優が繰り広げる、最後まで結末が読めないサイコ・サスペンスムービーです。

 これまで数々の凶悪犯罪を犯してきた死刑囚のリー・レイ(レイ・リオッタ)は致死注射により死刑執行されたのにも関わらず、なんと死体保管室で目を覚まします。そこにはマイケル・コープランド、アーロ・ペナーという博士と名乗る2人の存在が。実は、リーの注射の中身は入れ替えられていて、死刑執行は偽装のもの。彼はハート・マーサー製薬の新薬を試す実験台として医学プロジェクトに参加することを条件に、生きる選択肢を与えられたのでした。

 凶暴な性質を修正する新薬「アナグレス」の投与を開始したリーは、徐々に、殺人を犯した後悔の念で寝られなくなったり、自分の犯した犯罪が悪夢として、彼自身に襲いかかるようになりました。薬の効果を目の当たりにしたコープランド博士は、次の段階としてリー・レイに一般市民と同じ生活を送らせることを決意。ジョー・モンローという新しい名前をもらい、第二の人生を歩み出したリー・レイ。仕事をゲットし、テレサという女性に出会い、恋に落ちます。

 テレサの視点で本作を見てみると、ある日新しく入った仕事の同僚が実は元凶悪犯で、新薬のテストによって優しい人柄に変貌しているなんて、まったく想像できません。だからといって、過去を知ることだけが本当に正しいのか? 例えばゲーテはこんなことを言っています。「人はほとんど知らない時にのみ知っている。知識とともに疑いが強まるのだから。何でも知らないことが必要で、知っていることは役に立たない」。

 好きな人の過去が気になって気になって、過去という存在に振り回されてるかも?と思ったら、『コントロール』を観てみるといいかもしれません。

(文/トキエス)

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