ストイックは最強だ。『百円の恋』
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- 安藤サクラ,新井浩文,武正晴
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先月発表された、第39回日本アカデミー賞。『百円の恋』は一昨年公開の、単館系上映作品であるにも関わらず、見事5冠受賞。また、故 松田優作さんの出身地・山口県で毎年開催されている周南「絆」映画祭では、2012年に創設された脚本賞「松田優作賞」の第一回グランプリとなり、話題になりました。
斎藤一子(安藤サクラ)は32歳無職。いわゆるニートで、弁当屋を営む実家に引きこもっていましたが、出戻りの妹と大喧嘩をします。そのまま家を出た一子は、アパートに部屋を借り、100円ショップで深夜のアルバイトを始めます。
そして、アルバイトの帰り道に見かける、ボクシングジムの狩野(新井浩文)と出会い、恋をします。でも長く続かず、少しの間同棲していた狩野は出て行ってしまいます。
一子はというと、かねてから興味のあったボクシングを始めます。プロになる年齢制限ギリギリでしたが、猛特訓を重ね、見事プロのライセンスを取得。
ニートからプロボクサー合格というその変貌っぷりはすごいものがありました。ただただ強くなりたいからなのか、上達したいだけなのか、はたまた一子を取り巻く負の感情がそうさせるのか...。何が彼女を駆り立てたのかは果たして分かりませんが、一子のストイックにボクシングに取り組む姿、その変わりようには感動を覚えます。
かつての一子のようなニートの方や、打ち込めるものがない人、最近やる気がない人なんかに特に見てもらいたい本作です。
(文/森山梓)