『パニック・フライト』を観て、トラウマを抱える女性は最強だと思った
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- レイチェル・マクアダムス,キリアン・マーフィ,ブライアン・コックス,ウェス・クレイヴン
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過去に痴漢やストーカーなどの被害に遭ったことがあると、「夜道はスニーカーに履き替える」「玄関のチェーンは必ずかける」など自分なりの対処法を見つけ、「自分の身は自分で守らなければ」という気持ちが強くなると思う。そんな、過去にトラウマを抱える女性が最強すぎると実感した映画を発見した。一億ドル級のヒットをかました『スクリーム』シリーズのウェス・クレイヴン監督が手掛けた『パニック・フライト』だ。
マイアミの豪華ホテルでマネージャーとして働くリサは、わがままな客の対応も軽々こなす、接客のプロ。祖母の葬式のためテキサスに滞在した帰りに、深夜フライトに乗り込むところからストーリーが始まる。
気流が乱れ、時間が遅れる深夜フライト。苛立つサラリーマンは、チェックインのスタッフに八つ当たり。そんな光景を目の当たりにしたリサは、ついつい"仕事の癖"で対処してしまう。そこに助け舟を出したのが、紳士的な男、リップナーだった。
しかも、いざ搭乗すると、リップナーの隣の席。重なる偶然に話が弾む二人。だが、話しているうちに、なんと彼は要人暗殺を企むグループの一員だということが発覚! さらに、リサが勤務するホテルに宿泊予定の要人の部屋を変えるよう、脅迫までしてきたのだ。要求をのまなければ、父を殺すとまで脅されたリサは、飛行機という密室の中で、リップナーと必死で闘う。
タイトルを聞くと、ハイジャック犯が出てきて、乗客たちがパニック状態になって......というストーリーを思い浮かべがちだが、本作は、リップナーとリサの「一対一のバトル」なのだ。そしてリサは、"あるトラウマ"を抱えている。過去に恐怖を味わったからこそ、「自分の身は自分で守らなければ」と必死で凶悪犯と闘うのだ。
飛行機の中の状況を冷静に判断し、トイレの鏡にSOSのメッセージを書いたり、全力疾走で逃げまくったり、アクション映画ばりに闘うリサ。彼女の姿からは、トラウマを抱えた女性だからこそ持っている、内側からこみ上げてくるパワーみたいなものを感じた。
トラウマを抱えることは良くないけど、すでに抱えてしまっている人は「過去に傷を負ったことで強い女性にもなれるんだ」と、勇気をもらえるかもしれない。
(文/アヤカ)