もやもやレビュー

手遅れになる前に、心して観よう。中身を知ることの大切さ『チョコレートドーナツ』

チョコレートドーナツ [DVD]
『チョコレートドーナツ [DVD]』
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 タイトルと中身のイメージがこれほど違う映画も珍しいです。

 主人公はゲイバーで歌いながら生計を立てシンガーを夢見るルディ。客として店を訪れた弁護士のポールと出会って、付き合うことになります。そんなある日、ルディの住むアパートの隣人が薬物で捕まり、残されたダウン症の子ども・マルコを見かけたルディは、引き取って面倒をみたいと考えます。ポールの助言を元に、施設に連れて行かれてしまったマルコを引き取るために四苦八苦するルディ。やがて、本物の親、もしくはそれ以上かもしれない愛情が生まれていました。

 ところが、世間の見方は厳しいものでした。幼いダウン症児を、血の繋がりもない男二人、しかもゲイが面倒をみられるのか、悪影響をきたすに決まっている......裁判でも厳しい判決が下ってしまったのです。

でも、当のマルコはとても幸せそうでした。好物のチョコレートドーナツをおいしそうにほおばり、学校にも行って、まるで本当の家族みたいに過ごしていました。再び施設に送られてしまったあとも、ルディの「一緒に暮らすことを約束する」という言葉に嬉しそうな表情を見せるなど、二人との暮らしを望んでいたのです。

 子供の心は純粋で素直。大人のように「幸せって何?」とか考えなくたって、何が幸せかをシンプルに知っています。
 思い込みや物事の表面だけで判断してはいけない。いちばん大事な中身や当事者にとっての幸せをみようとせず、一般常識だけで物事を判断していないか、すごく問いかけられる映画です。

(文/森山梓)

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