江戸の豆腐事情

『豆腐百珍』が刊行された江戸時代後期には、町人の間で豆腐が身近な食べ物に。一方、都市部以外ではぜいたく品でした。

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日本の豆腐は、中国、または朝鮮半島から伝来したもの。伝来時期や経路には諸説ありますが、平安末期の奈良・春日大社の社務所日記に「春近(ちかし)唐符(とうふ)一種……」(寿永(じゅえい)二年(1183)正月2日の条)とあるのが最も古い記録です。鎌倉時代に精進料理とともに豆腐も広まり、室町時代以降、製造方法も全国に広がったとされています。
江戸時代中期には庶民の間にも普及し、『豆腐百珍』が刊行された江戸時代後期には大坂や京都、江戸の町人の間ではごく身近な食べ物に。京都で“祇園豆腐(※)”を名物とした「中村楼」、江戸で初めて絹ごし豆腐を売った「笹の雪」など豆腐を売り物にした料理屋も登場、花見の季節には庶民も田楽屋で豆腐田楽を楽しんでいたようです
とはいえ、諸国の庶民、特に農民にとっては長い間、豆腐はぜいたく品だったようです。『豆腐百珍』刊行から約30年後に記された『風俗問状答(ふうぞくといじょうこたえ)』には、諸国の雑煮の具として焼き豆腐や豆腐が多く登場しています。雑煮といえば正月をことほぐ料理の代表格。現在も豆腐を雑煮に用いる地方は珍しくありません。かつて豆腐がハレの食べ物だったことの名残といえるでしょう。
※薄く切った木綿豆腐をたまりしょうゆやたれみそで煮て、はったい粉をつけたもの。
■『NHKまる得マガジン 江戸グルメ本に学べ! ヘルシー豆腐活用術』より

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