“一生をかけて育てる”植物、コーデックスの魅力

左からサルコカウロン・ムルチフィズム、パキポディウム・ウィンゾリー、オペルクリカリア・パキプス 撮影:桜野良充
着実にそのファンをふやし続けているコーデックス。独特なフォルムに一度でも魅了されてしまえば、そこから抜け出せなくなるとまでいわれています。成熟した株には手が届かなくても、若い株からゆっくりと愛着をもって写真のように大きく育てるのは、まさに園芸の王道。園芸家の靍岡秀明(つるおか・ひであき)さんに、コーデックスの魅力を教えてもらいました。

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■コーデックスってナニ?

多肉植物(葉や茎に水分を多くため込むことができる植物の総称)の仲間であり、そのなかでも根などが肥大し、貯水タンクの機能をもつ植物を、コーデックスといいます。この肥大した根の部分は、丸みを帯びとても愛らしい形状から、「芋」と呼ばれます。
日本や海外を含め、園芸の世界では大きな枠組みで「塊根植物」と呼ばれていますが、幹や茎の部分が肥大したものも、同じくコーデックスとするのが通例です。
多くは生育がとても遅く、芋が肥大するのに何十年という年月を要します。そのため「一生をかけて育てる植物」ともいわれています。愛好家たちはぽってりとしたフォルムに育て上げることを、一つの目標にしています。

■コーデックスの魅力

ずんぐりと丸みを帯びたフォルム
肥大した根の部分、芋。この形が、コーデックスの大きな魅力の一つです。まん丸なもの、怪異といっていいほどのユニークなものなど、芋の形は千差万別。 それ以外にも、円柱状に肥大する茎や、樹形、葉の色やとげの出方など、とにかくバリエーションが豊富なのです。運命の一株に出会ってしまったら、もう手放せなくなること請け合いです。
ゆっくりとした成長スピード
多くのコーデックスは、とてもゆっくりと成長します。成長が遅いということは、株の異常も早期に気づけば、手遅れになる前に挽回ができるということでもあります。
小さな世界観
コーデックスのなかには、大木をそのまま小さなサイズに写したような、鉢の中に小さな世界観を出現させているものがあります。和風ではない、異国情緒あふれる盆栽のような楽しみ方もできるのです。
■『NHK趣味の園芸』2017年9月号より

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