いま、観葉植物・フィカスがおもしろい

フィカス・ウンベラータ 撮影:竹田正道
一鉢置くだけで、室内に洗練された雰囲気をもたらす観葉植物、フィカス。多種多様な種類やサイズがあり、鉢との組み合わせしだいで、洋室でも和室でも活躍してくれます。園芸研究家の小笠原 誓(おがさわら・せい)さんに、その魅力をうかがいました。

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■室内をおしゃれに一変させる存在感

葉の美しさ、大きさ、色の豊富さと樹形のおもしろさ、そして何よりも育てやすいという観葉植物の長所をいくつも兼ね備えたフィカス。クワ科フィカス属の植物で、世界の熱帯から温帯に分布しています。いかにも熱帯原産を思わせるゆったりとした大ぶりな葉は、一鉢置くとリゾート地でバカンスを過ごしている気持ちになります。近年は大ぶりの葉の人気が高く、住居や店舗に洗練された雰囲気をもたらす仕上げのインテリアとして活躍しています。一方、小さな葉をちらちらとつける種類はあたかも点描の絵画を見ているようです。吸い込まれそうな深い色合いから、軽妙に踊っているような斑(ふ)入り葉まで多彩な魅力があります。
じつは、フィカスは観賞用としてだけではなく、人類の文明発展上、重要な役目を果たしてきた有用植物でもあります。果樹のイチジクもフィカス属の植物。甘く柔らかな果実は古代から食用とされているほか、その葉はアダムとイブもお世話になった植物です。また、かつては幹を傷つけると出る白い樹液を採取してゴムの原料としていたために、「ゴムノキ」とも呼ばれるようになりました。その後、フィカスは観葉植物ブームの旗手として戦後に本格的な生産が始まって以来、今なおその人気は色あせることなく世代を超えて支持されています。

■似合う一鉢が必ず見つかる豊富な種類とサイズ

フィカスは種類の数だけでなく、同じ種類のなかでも大・中・小とサイズの生産バリエーションも豊か。置き場に合わせて選びやすいのも人気の理由です。鉢サイズは種類によって異なりますが、4〜6号鉢で高さ20〜50cmのタイプはテーブルやサイドボードの上に置くのにちょうどよいでしょう。それより大きい7〜10号鉢で高さ70〜180cmのものはリビングや玄関のコーナーに適しています。幹の仕立て方もユニークなものが多く、自然樹形ばかりでなく比較的柔らかい茎を人工的に曲げてつくられたアーティスティックな樹形もおもしろく、その魅力は尽きません。
■『NHK趣味の園芸』2017年8月号より

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