守りの堅い玉を攻略するには

撮影:藤田浩司
『NHK将棋講座』6月のテーマは「寄せははがすなり」。講師の船江恒平六段が、守りの堅い玉の攻略法を指南します。
(課題図の肩書は対局当時のものです)

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この2か月は玉を詰ますための解説をしてきました。将棋は玉を詰ますゲームですが、「玉を(直接)攻めるゲーム」とイコールではないような気がします。
では何を攻めるのか。敵玉の守り駒です。それが今月のテーマである「寄せははがすなり」につながっていきます。
4月号で、玉の近くにいる金銀はボディーガードの役目だと紹介しました。どうでしょう。「寄せははがすなり」をよりイメージできるのではないでしょうか?
ボディーガードがいる状態で大将を攻めても一筋縄ではいきません。守備陣を突破することが寄せへの第一歩になります。しかも、将棋は取った駒を使うことができます。守り駒を倒せば(取れば)、今度は自分の味方になってくれます。
玉方の身になってみると、ついさっきまで守り駒だった駒が、寝返って自分をしとめにやってくるわけです。そう考えると将棋は恐ろしいゲームですね。


■山崎八段に学ぶ 切れ負けの鬼で頼れる先輩棋士

講座で使う実戦の図面は過去の公式戦からテーマに適した将棋を選んでいます。意図したわけではないのですが、今月も山崎八段の将棋を選びました。前に紹介したときは敗戦局でした。今月は勝局でホッとしています。
山崎八段には奨励会のころから数多く将棋を教わっています。固定観念にとらわれない自由な棋風。私の気づかない手を指されることが多く、とても勉強になっています。
終盤ではNHK講座にもなった「ちょいワル逆転術」があります。講座で実戦を使わせていただいたのは偶然ではないと思います。
1分切れ負け将棋で鬼のような強さを発揮されているのはやはり、独特の発想に相手がとっさに反応できていないことが大きいと思います。
■『NHK将棋講座』2017年6月号より

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