老舗純喫茶のフワフワたまごサンド

撮影:野口健志
『きょうの料理ビギナーズ』の人気連載「サカタメシ」。料理研究家の坂田阿希子(さかた・あきこ)さんが、こだわりのレシピを紹介しています。5月号では、故郷の純喫茶で必ずオーダオーするという「たまごサンド」を再現しました。

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私の故郷、新潟県長岡市に、昔から通い続ける老舗の純喫茶があります。そこに行ったら必ずオーダーするのが、フワフワ焼きたてのオムレツをはさんだ「たまごサンド」。これがとにかく絶品なのです。そこのサンドイッチを再現したくてたどり着いたのが今回のたまごサンドです。
再現するのには、いくつかの絶対守りたいお約束があります。パンは当日焼きたての食パンであること。この食パンはくせのない普通の食パンであること。この普通の食パンというのが大事です。そしてパンの厚さは8枚切り。これより薄くても厚くてもダメなのです。8枚切りがベスト。
まず、8枚の食パンを並べ、片面にマヨネーズをポンポンッとのせて塗ります。そう、バターでなくてマヨネーズ。これがこのたまごサンドの憎めない味のポイント。バターを柔らかくして塗る、って結構面倒くさいもの。マヨネーズだと冷蔵庫から出したてでもササッと塗れるので、思い立ったときにすぐつくれる。これもいいところ。
卵は3コずつ焼きましょう。6コだといい感じの柔らかさに仕上げるのが難しいのです。フライパンにバターを溶かし、溶いた卵をざっと流します。最初から最後まで強火で仕上げましょう。このときに役立つのが耐熱のゴムべら。これも成功のポイントです。フライパンを揺すりながら、そして腕のスナップも利かせながらグルグルと勢いよく混ぜてオムレツにまとめていきます。30秒もあれば焼き上がります。ふんわりと柔らかく、でも中まで火を通して。半熟すぎると食べにくいし、時間がたつとダレてきます。食パン2枚に半量ずつのせ、アツアツのところをもう1枚でサンド。卵の余熱で、食パンもさらにふんわり。
手にとるとパンもあったかい……くらいがおいしいです。もう1回同様につくって全部で4組のサンドイッチができました。このサンドはみみを切り落としたほうがおいしい。とにかく柔らかい食感に仕上げます。
朝ごはんでもおやつでも、急な来客のときでも、当日焼き上がった食パンさえあれば、マヨネーズと卵、バターなどおうちにあるものでできます。本当にすぐにでき上がる、あっという間のサンドイッチなのに、食べた人は、みんな「あっこのたまごサンド〜」と喜んでくれる絶品サンドイッチなのです。
このサンドイッチには、さっぱりした「きゅうりのディルサラダ」がぴったり。皮をしまむきにした輪切りきゅうりとディル、たまねぎをオリーブ油でコーティング。あとは塩、こしょう、赤ワインビネガーでサッと混ぜればでき上がり。うちの定番の組み合わせです。
※たまごサンド、きゅうりのディルサラダのつくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理ビギナーズ』2017年5月号より

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