「満点星」の異名をとるドウダンツツジ

4月中旬ごろから下旬にかけて、白い花をほころばせるドウダンツツジ。切り詰めなければ、下の写真のように樹高が3mほどにもなる。撮影:上林徳寛
満天の星にもたとえられる無数の開花、目にも鮮やかな美しい紅葉。昔から親しまれ、四季折々に街角や庭先を彩ってきたドウダンツツジの魅力を見直してみませんか? 園芸研究家の小笠原 誓(おがさわら・せい)さんに、その特徴と魅力をうかがいました。

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日本原産で、暑さ寒さにも強く丈夫で育てやすいドウダンツツジ。春に壺形の白い花をたくさんつけ、秋には葉が真っ赤に紅葉します。細かい枝を無数に広げ、刈り込みに強いため、生け垣やトピアリーなど用途が広いことも特徴です。
春から初夏のみずみずしい青葉や、秋の鮮やかな紅葉は、生け花の花材としても欠かせません。リズム感のある枝と葉が季節を感じさせてくれます。
最近広がりつつある楽しみ方の一つは、鉢でコンパクトに育てるというもの。5〜6号鉢で小株を維持するのもおもしろいですが、その一方で10号鉢以上の大きな鉢に植えて大木に仕立て、家庭のシンボルツリーにするのも楽しいものです。

■無数の白い花に「満点星」の異名も。ドウダンツツジはこんな植物です

ドウダンツツジは、4月中旬〜5月にスズランの花に似たかわいらしい壺形の花を下向きにつけます。開花期は約2週間です。節から車輪状に伸びる枝のようすが、大昔に明かりをとるために用いられた「結び燈台」の足に似ていることから「燈台躑躅(とうだいつつじ)」。このトウダイがドウダンに変じたという説もあります。暖地でも美しく色づくため、秋の紅葉も愛されています。
日本でよく育てられているものは、まず白い花の咲くドウダンツツジ。春に出た若い葉の下に花径8mmほどの花をつけます。道教の神である太上老君が霊薬をつくるときにこぼした霊水が地上に降り注ぎ、まるで満天の星のように輝いたという中国の伝説から、別名「満天星」とも呼ばれています。
このほか薄紅色に暗紅色の筋が入って更紗(さらさ)模様に見えるサラサドウダンやその変種のベニサラサドウダンもよく見られます。シロドウダンとその赤花品種のベニドウダンは、花弁の縁に不規則な細かい切れ込みが入るのが特徴です。中国原産で常緑性のホンコンドウダンは、最近では「ピンクシャンデリア」という名前で出回っています。
■『NHK趣味の園芸』2017年5月号より

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