食べている野菜のタネ、なぜまいてはいけないの?

完熟して黄色くなったタネとり用のキュウリ。ふだん、こんなキュウリは食べていないはず。撮影:丸山滋
食用の野菜にもタネはあるのに、なぜ園芸店でタネが売られているのか。それは、多くの場合、食べている野菜のタネをまいてもうまく育たないからなのです……。恵泉女学園大学人間社会学部教授の藤田 智(ふじた・さとし)さんが詳しく解説します。

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■タネは、成熟していないと発芽できない

トマトやキュウリ、スイカなどの実もの野菜は、実の中にタネがあります。でも、これらのタネが成熟しているとは限りません。食べているのが未熟なうちに収穫したものだった場合、タネも未熟で発芽できないのです。キュウリやピーマンのように若い実を収穫する野菜などが、これに該当します。

■ちゃんと育つとは限らない

野菜は大きく「F1品種」と「固定種」に分けられます。固定種の野菜は、自分でとったタネをまいてもうまく育つ一方、F1品種の野菜は、ちゃんと育つとは限りません。そして、最近の主流は、丈夫で育てやすいF1品種です。F1品種のタネ袋には、種苗会社の名前や所在地の地名などをつけて「○○交配」などと書かれているので見分けがつきますが、青果店で売られている野菜を見ただけでは、多くの場合は区別がつきません。だから、失敗したくないのなら、タネを購入してまいたほうがよいのです。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2017年4月号より

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