トマト栽培の疑問を解決

小さすぎるトマトの苗。このまま植えつけると、つるボケして実つきが悪くなる。撮影:岡部留美
トマトを育てるうちに湧き上がった、「なぜ?」「どうすればいいの?」という疑問に、恵泉女学園大学人間社会学部教授の藤田 智(ふじた・さとし)さんがお答えします。疑問をクリアすれば、野菜作りの腕もワンランクアップすること間違いなしです。

* * *


■Q 小さな苗しか売られていません。どうしたらよいですか。


■A すぐに植えてはいけません。

花も蕾つぼみもついていない小さな苗は、「つるボケ」(詳細は次項参照)しやすくなります。すぐに植えつけてはいけません。日当たりのよい、風の当たらない場所で、蕾か花がつくまで育ててから植えつけましょう。

■Q 4月末にトマトを植えましたが、株は大きくなっても実がつきません。


■A 「つるボケ」が原因です。

植えつけるころに、一時的に寒くならなかったでしょうか。トマトは下から1番目の花が低温の時期に咲くと、うまく受精できず、実がつかなくなります。1番目の花が実にならないと、本来は実を大きくするための養分が茎や葉の成長に使われてしまい、株は大きくなっても実がつかない「つるボケ」を起こす場合があります。
受精不良によるつるボケを防ぐためには、人工授粉を行って、1番目の花に確実に実をつけさせることが大切です。柔らかい筆などで花の中央をそっとなで、人工的に受粉させましょう。その後の実つきがよくなる効果もあります。
もう一つ考えられる原因が、小さすぎる苗を植えたのではないかということです。これも、まずは茎や葉を育てるために養分が使われるため、つるボケの原因になります。1番目の花が咲いているか、蕾がついている苗を植えましょう。

■Q トマトには、肥料をあげないほうがいいと聞きました。本当ですか。


■A 適正量の肥料は必要です。

トマトは、土作りの際に投入する元肥(もとごえ)の肥料分が多すぎると、茎や葉ばかりが茂って実つきが悪くなる「つるボケ」を起こします。しかし、実がつくときには多くのエネルギーが必要になるので、定期的な追肥で肥料を切らさずに育てることが大切です。生育途中で肥料分が切れると、育ちが悪くなります。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2017年4月号より

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