佐藤天彦名人のリフレッシュ法

撮影/藤田浩司
テキスト『NHK 将棋講座』で講座「天彦流 中盤の読みとき方」の講師を務める佐藤天彦(さとう・あまひこ)名人。11月号のテーマはは「中盤の序盤」。つまり駒がぶつかる直前、直後あたりの局面で、どういう方針で指せばいいのかを解説しています。
多趣味で知られる佐藤名人に、リフレッシュ法を伺いました。

* * *

いよいよ今月から中盤戦を具体的に読みといていきますが、いかがですか?
「難しいなあ」と思ったときはもう一度、最初から読み返してみてください。きっと一回目には気づかなかったことが理解できるようになっているはずです。
どうしても煮詰まってしまったら、リフレッシュも大切です。私も対局中によく気分転換をします。今月はリフレッシュの方法についてお話ししましょう。

■将棋を忘れて、好きなことを思い浮かべる

まず対局中ですが、自分の手番のときは一生懸命考えます。ただ相手の手番のときもずっと集中して考えていると、そのうちに疲れて集中が切れてしまいます。相手の考慮中に自分の考えがある程度まとまったら、将棋のことは一度頭から追いやって、趣味のことを考えたりします。例えば僕はファッションが好きなのですが、次はどの服を買おうかとか、買った服をどうコーディネートしようかとか、思案を巡らせています。
昼食休憩、夕食休憩ではご飯をしっかり食べて、横になって体を休めます。
対局中に甘いものを摂(と)ることもあります。糖分は脳の働きをよくするので、フルーツジュースをよく飲みます。以前はカバンの中にチョコレートを常備して、対局のたびに少しずつ口にしていました。あるとき、久しぶりに食べようとしたら色が変色して味が落ちていた(笑)。せっかく高級なものを買ったのに…。

■楽しいやり方を見つけよう




リフレッシュは対局中だけではありません。公式戦で黒星が集まり、問題がメンタル面にあると分かったときも気分転換します。買い物に行ったり、好きなクラシック音楽を聴いたりすることが多い。曲はそのときの気分に合わせます。例えば盛り上がって研究をしたいときは高揚するような大曲を。またしんどいときは癒やされるような明るい曲を聞くこともありますが、あえて暗い曲調のもので気持ちを同調させて、「こういうこともあるよな」としんみりすることもあります。
いずれにせよ大事なのは、自分が楽しいと思う気分転換法を見つけることです。
■『NHK将棋講座』2016年11月号より

NHKテキストVIEW

NHK 将棋講座 2016年 11 月号 [雑誌]
『NHK 将棋講座 2016年 11 月号 [雑誌]』
NHK出版
545円(税込)
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> LawsonHMV

« 前のページ | 次のページ »

BOOK STANDプレミアム