変幻自在の名脇役 ツワブキの魅力

美しい白斑に、異なる品種やほかの葉ものを合わせると単調にならずに互いの個性が引き立つ。撮影:牧 稔人
ツワブキはたいへん美しい植物です。光沢のある革質の葉は常緑で、グラウンドカバープランツとして重宝するだけでなく、さまざまな葉形や葉の模様がコレクター心をくすぐります。秋には小ギクを思わせる花を咲かせ、彩りの少ない季節に華やかさも添えてくれる、まさに庭やベランダの名脇役です。園芸家の辻 幸治(つじ・こうじ)さんが、その魅力を紹介します。

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■葉と花が楽しめて食用にもなるパーフェクトな宿根草

ツワブキのよさが常緑の葉にあることは確かでしょう。一般的な丸い濃緑の葉もよいものですが、白や黄色、黄緑色のさまざまなパターンの斑(ふ)には目を奪われます。なかでも鮮やかな星斑(ほしふ)は、似た植物が少ないこともあって世界的に人気です。さらに、フリルやモミジのような切れ込み、新聞紙を丸めたような形など、さまざまな葉の形もあります。
ツワブキの栽培品種は現在100品種以上もあります。葉だけでもおもしろいですが、クリーム色やオレンジ色、八重咲きなどの花変わりもあり、晩秋を飾る宿根草としての価値もあります。
日本列島や南西諸島、中国、台湾の海岸沿いの崖や岩場に自生し、その過酷な原産地の環境から、日なたから明るい日陰まで幅広い光環境に適応し、少々の悪環境をものともしない丈夫さをもっています。若い葉柄はキャラブキとして山菜(※)にも利用され、まさにパーフェクトな宿根草といえるでしょう。
※山菜として利用する場合は、食用に販売されているものを使いましょう。
■『NHK趣味の園芸』2016年11月号より

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