ボタンとシャクヤクの違い

左/シャクヤク‘衛士(えじ)の篝(かがり)’ 撮影:福田 稔 右/ボタン‘白妙’ 撮影:田中雅也
大きくふくよかな花を咲かせるボタンとシャクヤク。「立てば芍薬、座れば牡丹」と美しい女性の容姿や立ち居振る舞いを形容するように、独特の美を象徴する植物です。新潟県立植物園副園長の倉重祐二(くらしげ・ゆうじ)さんにそれぞれの違いと特徴を教えてもらいました。

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■ボタンとシャクヤクの違い、ご存じでした?

どちらもボタン科ボタン属の植物で、もともとは薬用植物として渡来しました。江戸初期には観賞用として改良され、明治以降は日本独自の品種に加えて、欧米から輸入された品種が加わりました。
両種類は近縁なので、市販のボタンの苗は成長の早いシャクヤクの根を台木にして、つぎ木されています。これは明治中ごろに新潟県で実用化された技術です。
ボタンは落葉低木
冬に葉は落ちるが地上部に枝が残る。年々、幹が太く大きくなる。
シャクヤクは宿根草
冬季に地上部が枯れてしまう。年々、根が広がって、大株に育つ。

■進化するシャクヤクの品種

ボタンの品種改良は日本や中国が中心ですが、シャクヤクはアメリカやヨーロッパで花壇用の宿根草として人気が高く、数多くの品種が作出されています。日本のシャクヤクと比べると花が大きく、八重咲きで花色も鮮やかなものが多いのが特徴です。
また、黄色のシャクヤクを作出するために日本でボタンと交配されたハイブリッドシャクヤクと呼ばれるグループがあります。

 



■『NHK趣味の園芸』2016年5月号より

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