歌に詠まれた励ましの心

『NHK短歌』の人気講座「短歌de胸キュン」。2016年度の講師は「塔」選者の栗木京子(くりき・きょうこ)さんです。「気持ちをうたう」をテーマに1年間お送りします。

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心や体が弱っているときに誰かからあたたかい励ましを受けると、とてもうれしいものです。すぐにへこたれる私は、これまで多くの人から励まされて元気をもらってきたなあ、とあらためて思います。
赤は注意、緑は励まし 先端の欠けた三色ボールペンなら

千葉 聡『海、悲歌、夏の雫など』


作者は公立高校の国語科の教諭です。この歌は、生徒たちが提出した文章に目を通している場面のようです。生徒の文章にコメントを付けてゆくのですが、ボールペンの赤と緑を使い分けているところがこまやかに感じられます。教師からの評価は、つい「赤は注意」ばかりになりそうですが、それだけでなく「緑は励まし」も添えられています。若者たちはこの緑色にどれだけ勇気付けられることでしょう。自信たっぷりに励ましているのではなく、ボールペンの先端が欠けているところにやさしい雰囲気が漂います。
■『NHK短歌』2016年4月号より

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