冬草といっしょにおいしいキャベツを育てよう

春キャベツの収穫。外葉に虫の食痕(しょくこん)が目につくが、内側の球は傷んでいない。草とともに育てると養分が過剰にならないので、虫の被害は少なくなる。草が益虫のすまいにもなっている。撮影:岡部留美
冬草とともに、自然の草の力を借りて野菜を自然に育ててみましょう。入門にうってつけなのがキャベツ。キャベツと草の不思議な関係は、野菜の栽培について、いろいろなことを教えてくれます。自然菜園コンサルタントの竹内孝功(たけうち・あつのり)さんにお話を聞きました。

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■草が生える場所では益虫が野菜を守ってくれる

できるだけ自然に近い状態で野菜を育てようと思うと、野山の風景がヒントになります。まずは春の野原を思い浮かべてみましょう。
冬の寒かった時期を過ぎると、秋に芽を出したものの目立たなかった草たちがいっせいに成長を始めます。草がない場所にキャベツのみを植えると、「害虫さん食べてください」と言わんばかりに、ヨトウムシやアオムシたちがやってきます。
草の生えた畑には害虫もいますが、益虫と呼ばれるクモやテントウムシ、ゴミムシも越冬できます。暖かくなるとこれらの益虫たちが活躍してくれるため、キャベツの害虫による被害を軽減してくれます。冬から春まで畑で草を生やしておくメリットは、このようなところにもあります。

■冬草は寒さから畑を守り、土を豊かにする

10月から翌年5月まで主に生える草を、「冬草」と呼んでいます。秋に芽を出すものの、冬の間は成長がゆっくりで、草丈(くさたけ)が低いまま、はうように茎や葉を伸ばします。冬草が地表を覆っているところは、霜柱はほとんど立ちません。3月から4月に吹く乾燥した冷たい風から土の飛散を防ぎ、畑を保温・保湿してくれます。暖かくなるととう立ちし、小さな花をたくさん咲かせ、益虫のミツバチやナナホシテントウムシをいち早く呼び寄せます。
暑くなると枯れ始めますが、それまでは夏草の台頭を抑え、枯れて微生物などに分解されたのちは、土を肥やしてくれます。

■キャベツと冬草はともによく育つ

冬草と呼ばれる種類の多くは、「野草」として食べることができます。春の七草がゆで知られる「スズナ」はカブ、「スズシロ」はダイコンのことで、食べられる冬草がよく生える場所で自然に育ちます。そうした場所は日当たりがよく、土が肥えていて、野菜も育ちやすいのでしょう。特にハコベが覆っている場所は、ハコベの根がびっしりと生え、土は細やかに耕され、しっとりと潤っています。
おもしろいのは、ハコベやナズナがよく生える場所にキャベツを植えると、よく育つことです。ただし、キャベツが結球(けっきゅう)するには、外葉を広げ、葉の枚数をふやしていく必要があります。そこで結球が始まるまでは、冬草でも外葉の先15cmくらいの範囲の草を刈って敷くことが自然に育てるコツです。
つまり、キャベツが外葉で草を抑えながら草と共存して育ってきた姿を、草を刈って敷く「草マルチ」で上手にお手伝いするのがコツだと言えます。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2016年4月号より

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