囲碁から学ぶ人生訓

テキスト『NHK囲碁講座』では、元参議院議員の藁科満治(わらしな・みつはる)さんが綴る「囲碁文化の歴史をたどる」が好評連載中です。長い歴史を持つ囲碁は、人々の営為の歴史が色濃く反映され、数多くの教訓が生み出されてきました。今回は、それを「いろは」でまとめた『囲碁から学ぶ人生訓』(石倉昇、兵頭俊夫、藁科満治共著、大竹英雄監修・日本評論社〈絶版〉)を紹介します。
(注:「いろは」は、広辞林によれば、「ひらがな47文字で同一文字を二度使わずに、仏教の要旨を現代風に和訳した歌の略称」で、昔から習字の手本にされた。『囲碁から学ぶ人生訓』では、現代かなづかいに基づき「わ行の三文字」を削除してある。)

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■囲碁から学ぶ人生訓

い 「一念発起(いちねんほっき)」碁盤に向き合う 〈「一念」は、もともと仏教の言葉で、ひたすら努力すれば天に通じるという意味〉
ろ 「老若男女(ろうにゃくなんにょ)」が楽しむ対局 〈老人も若者も、男女分け隔てなく囲碁は楽しめる〉
は 「盤上見宇宙」(囲碁十章 盤上に宇宙を見る) 〈盤上は、宇宙のように広いので、限りなく広い視野で見ることが大切〉
に 「忍耐を重ねるうちに道開く」 〈忍耐を重ねていれば、難局を切り開く道が見えてくる〉
ほ 「方円貴調和(ほうえんとうとちょうわ)」(囲碁十章 方円調和を貴〈とうと〉ぶ) 〈形・姿(方円)は、調和の取れたものが優れて貴い〉
へ 「平安の文化」を伝える紫式部、清少納言 〈平安時代からの囲碁文化の歴史を、紫式部は『源氏物語』、清少納言は『枕草子』を通じて後世に伝える〉
と 「友達は、もう一人の自分である」(アリストテレス) 〈友達(囲碁の好敵手あるいは碁敵)は、自分を見直す鏡のようなものである〉
ち 「朝三暮四(ちょうさんぼし)」 〈目先の利益にこだわり過ぎて、全体像を見失ってはいけない〉
り 「臨機而変化(りんきじへんか)」 (囲碁十章 機に臨んで而〈しか〉して変化す)〈時と場によっては、変幻自在に対応することも必要である〉
ぬ 「濡(ぬ)れ手で粟(あわ)のようにはいかぬもの」 〈濡れている手に粟が付くように、努力しないで簡単にうまくいくものではない〉
る 「ルールも大事 マナーも大事」 〈ルールとマナーを大事にすることは、対局の相手を大事にすることでもある〉
※わ〜すの人生訓はテキストでお楽しみください。
■『NHK囲碁講座』連載「囲碁文化の歴史をたどる」2016年1月号より

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