「序盤は飛車より角を持て」──対振り飛車の序盤戦術

『NHK将棋講座』の別冊付録で10月号からスタートした「武市三郎の序盤の急所」。この付録では、武市三郎(たけいち・さぶろう)七段が序盤の最初に優劣が決まる場面を問題図にして、[1]振り飛車編、[2]対振り飛車編、[3]相居飛車編の3つに分けて出題します。
11月号は対振り飛車編。「序盤は飛車よりも角」を念頭に置いて取り組んでみてください。

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終盤の急所と言えば普通は玉の近くですが、序盤戦の場合は相手とぶつかる地点、接点の見極めが重要になります。特に攻めの主役である飛車の筋や、角の直射地点は人一倍の用心をしなければいけません。
ただし、今回は対振り飛車編ですから、一般的には角筋が敵陣に通った居飛車側に攻めの主導権があると言えます。
「序盤は飛車より角を持て」。序盤の低い陣形では飛車の打ち込み場所は少なく、角での両取りなどのパターンが非常に多いからでしょうか。
今回も角の絡んだ出題が目立っております。正解手の一手だけではピンとこないかもしれませんが、数手先には明快に指しやすくなるはずです。「三手の読み」を意識されて取り組んでください。一度習得された筋を実戦に活用していただければ幸いです。

「浮き駒を狙え」は手作りの格言です。





正解 ▲4五銀




問題図の△1四歩は▲4五銀(正解図)を見落とした序盤戦の大悪手です。対して△同桂は▲2二角成の角銀交換の駒得のうえに馬が強力です。▲4五銀に△2四飛も▲2五歩の追撃が厳しく、△同飛▲同飛△同桂に▲2二角成(参考図)となって、角の丸得なら先手必勝でしょう。

「浮き駒に手あり」は序・中盤の手作りの格言ですが、特に大駒が浮き駒のときは手作りのチャンスでもあります。後手の△1四歩では、△4四歩や△3二金なら駒組みが続いたはずです。
■『NHK将棋講座』2015年11月号より

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