序盤の次の一手を見極めよう

『NHK将棋講座』の別冊付録で10月号からスタートした「武市三郎の序盤の急所」。この付録では、武市三郎(たけいち・さぶろう)七段が序盤の最初に優劣が決まる場面を問題図にして、[1]振り飛車編、[2]対振り飛車編、[3]相居飛車編の3つに分けて出題します。
本稿では、初回の[1]振り飛車編から問題と解説を紹介します。居飛車側の軽率な一手をとがめて優勢を築いてください。

* * *

次の一手の出題は、息詰まった終盤戦の奇抜な攻防手とかが一般的かもしれません。しかし、日頃は素通りしている序盤戦にも一局のペースを握るための手筋がたくさん潜んでいるものです。序盤の善悪は棋力さえ上がれば自然と分かってきますが、級位者のうちは序盤戦での意識が薄く、見逃しやすいと言えるでしょう。
序盤の次の一手は終盤のそれとは違って、一度吸収できれば定跡や常識のように必ず実戦に役立ちます。序盤の意識や気配りが変わってくれば上達につながると思います。
△2 二玉は危ない一手でした。機敏な一着は?

正解 ▲4五銀
問題図の△2二玉は▲4五銀(正解図)を軽視した序盤戦の大悪手です。対して歩損を嫌うなら△3五歩と突きますが、それでも▲3四銀(参考図)の突進が厳しい一手です。

以下△5五角は▲5六歩、△2四角や△5一角も▲4三銀成〜▲6五歩という流れで先手十分の展開になります。常に角頭は狙われやすいもので、後手の△2二玉では△4四歩や△4四銀なら、先手から速い動きはなく、一局の将棋になったはずです。 
■『NHK将棋講座』2015年10月号より

NHKテキストVIEW

NHK 将棋講座 2015年 10 月号 [雑誌]
『NHK 将棋講座 2015年 10 月号 [雑誌]』
NHK出版 / 545円(税込)
>> Amazon.co.jp

« 前のページ | 次のページ »

BOOK STANDプレミアム