日本酒を知れば家飲みがもっと楽しくなる!

イラスト:前田はんきち
毎号テーマが変わる人気のよろずテキスト『まる得マガジン』。2015年10〜11月号は「きょうから飲み方が変わる! 日本酒のいろは」と題し、エッセイストで酒ジャーナリストの葉石かおり(はいし・かおり)さんが、日本酒の基礎知識や様々な飲み方、タイプに合わせたおつまみレシピを紹介しています。まずは、日本酒の種類から学んでみましょう。

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日本酒は難しい? ハレの日に飲むもの? いいえ、そんなことはありません。日本酒はカジュアルなもの。ハレの日に限らず、もっと気軽に家で楽しんでほしいのです。
今、日本酒の味は多種多様。フルーツのような芳醇(ほうじゅん)な甘い香りをまとったもの、白ワインを思わせる甘酸っぱいもの、そしてシュワシュワと泡が立ち上る発泡性のものと、かつての日本酒にはなかった新しい味わいが毎年続々と登場するようになりました。
こうした背景には、新しい感性を持った蔵元たちの挑戦が大きく影響しています。今の日本酒が和食に限らず、どんな料理にも合うのは、彼らの自由な発想が味に生きているからなのです。
進化しつつも、より身近になった日本酒。その中から「これだ!」と思う一本を見つければ、「家飲み」がさらに楽しくなります。
難しいことは考えず、肩の力を抜いて、まずは飲んでみてください。そこには飲んだ人から開かれる、“新しい日本酒” の世界が待っています。

■種類を知ろう

見た目の色に大差がないことから、「日本酒はどれを飲んでも一緒」と思われがち。ワインやビールは、原材料や製法によって味、見た目も明らかに違います。それに対し、日本酒の原材料は米と水が基本。
写真は、製法が異なる4種類の日本酒。こうしてグラスに入れて並べると、同じように見えますよね。でも飲み比べてみると、その差は歴然。一つとして同じ味はなく、100種類あれば100 通りの味があることが分かります。同じ米と水を使っても、造り手が異なれば味も変わりますし、製法が変われば、同じ蔵の酒でも他社のものかと思うほど味わいが違います。これが日本酒のおもしろいところです。
だからこそ、一口飲んだだけで「この日本酒は苦手」と思わないでほしいのです。もしかしたら次、いえ、その次に出会う酒が、“運命の一本”かもしれません。ぜひ、自分の感性で好みの酒を見つけてみませんか?



■日本酒は大きく分けて2タイプ

日本酒は原料の違いにより、2つに分けられます。米、米麹、水でできた純米(じゅんまい)タイプ、米、米麹、水に、醸造アルコールを加えた本醸造(ほんじょうぞう)タイプの酒です。さらに、米の磨き具合(精米歩合〈せいまいぶあい〉)の違いによって下の図のように8 つに分類されます。
これらは、「特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)」と呼ばれる日本酒の分類法による名称。「特定名称酒」以外には、「普通酒」などがあります。特定名称酒は平成元年に国税庁が定めた分類法で、例えるならば、社長、課長といった会社の役職のようなもの。日本酒を選ぶ指標にはなりますが、酒そのものの味わいを決定づけるものではありません。



■『NHKまる得マガジン きょうから飲み方が変わる! 日本酒のいろは』より

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