山口恵梨子女流初段、4年前のテレビ出演を思う

19歳のとき、NHK将棋講座(現将棋フォーカス)に聞き手として出演していた山口恵梨子(やまぐち・えりこ)女流初段。その当時の思い出とは。

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将棋講座のテキストに文章を書かせていただくのは「えりこの駒落ち新発見!」以来です。4年前の将棋講座、「高橋道雄の自由に指そう!楽しい駒落ち」を覚えている方もいらっしゃるでしょうか。半年間だけ聞き手をさせていただきました。今は「将棋フォーカス」となり、つるの剛士さんと岩崎ひろみさんが聞き手をなさっていますね。
当時山口恵梨子19歳、若かったあのころ。小さいころから観ていた将棋講座に出演させていただいてとても嬉しい反面、テレビカメラが目の前にあることに緊張して何も話すことができずただひたすらニコニコ笑っていたことを覚えています。あまりに緊張してしまうので講座に入るまでの数十秒間の雑談まで、リハーサルをして一言一句話す内容を高橋九段と決めていました。制作スタッフの皆さま、ごめんなさい。
当時の楽しみはNHKスタジオの食堂に行くことと、打ち合わせで高橋九段の作る将棋講座の棋譜を並べることの二つでした。その棋譜は、駒組みが本当にきれいで、美しい詰将棋を観ている気分になりました。「歩内銀(ふうちぎん)」の大切さを教わり半年間で少し強くなった気がします。勘違いではありません。その講座の収録期間だけなぜか成績が上がりました。講座の収録が千秋楽を迎えた数日後、突如成績が下がりました。高橋九段の講座は『棒銀と中飛車で駒落ちを勝て!』という書名で今も販売しております。ぜひ。
打ち合わせでは、棋譜を並べて高橋九段に重要な解説のポイントを指導していただいて収録に臨むのですが、なぜかアニメとAKB 48の知識がとても増えました。雑談のほうが多かったのかもしれません。「明日じゃんけん大会に行くんだよ!」とおっしゃっていた高橋九段の楽しそうな笑顔を昨日のように覚えています。いいなぁ。また、大晦日の直前の年末の収録では、打ち合わせがそろそろ始まるかなぁという頃合いにディレクターさんがドアを全開に。不思議に思いつつ打ち合わせに出ていると廊下を通る女の子の笑い声が聞こえます。声がするごとに「○○さんだね。」とおっしゃる高橋九段。そう、AKBの楽屋が隣でした。ディレクター様のファインプレーにより本物が見られ、その日はいつも以上にテンションが高い収録となりました。紅白歌合戦前の特番だったそうです。
お昼ご飯は毎回NHKの食堂。ラーメンがおいしいと有名だそうです。羽生先生が好きな食堂のメニューとして昨年の将棋の日のクイズにも出ていましたね。お味は東京風、醤油味です。4年の歳月が流れ、今。私は解説の先生が嘆いているんじゃないかと思うほど話をするようになりました。将棋を愛する心を忘れず、前に進んでいきたいです。
■『NHK将棋講座』2015年2月号より

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