マツタケは? シイタケは? キノコは大きく2種類に分けられる

日本の秋の味覚の代表、マツタケは菌根菌。古くから愛されているが、外国にはこのキノコの食習慣はあまりない。夏から秋にアカマツなどの林に生える。
36億年前に地球に現れ、3000万種あるという菌類。そのなかでキノコの仲間は、世界に1〜2万、日本には4000〜5000種あると言われています。私たちがふだん食べているのは、そんなキノコのほんの一部にすぎません。キノコは、その暮らしぶりから大きく2つのグループに分かれるということをご存じでしたか?

■菌根菌(きんこんきん)のキノコ

人工栽培が難しいキノコ
生きている木とともに生きる菌根菌
マツタケやホンシメジ、ポルチーニやトリュフなどのキノコは、「菌根菌」といって、生きた樹木といっしょに生活している菌類です。菌根菌は、「菌糸(きんし)」と呼ばれる糸状の組織を土の中に張りめぐらせ、樹木の細い根に共生して、「菌根」を作ります。そうして、土の中からチッ素、リン酸、カリなどの養分や水を吸収し、菌根を通して樹木に届けます。そのかわりに樹木は、光合成で作った糖類などを菌類に与え、その命を支えています。たとえば、マツタケはアカマツ、ポルチーニはトウヒなどの樹木と、共生関係を築いています。

■腐生菌(ふせいきん)のキノコ

人工栽培できるキノコ
枯れた木や落ち葉を分解する腐生菌
シイタケやナメコ、マイタケなどのキノコは、「腐生菌」といって、倒木や切り株などに生える菌類です。腐生菌は、樹木や落ち葉を分解し、それを自分の栄養にして生きています。ですから、これらのキノコが生えたあと、その樹木や落ち葉は朽ちて、土に還っていきます。腐生菌は、人工栽培ができます。スーパーなどで見かける栽培キノコは、ほとんどがこの仲間です。ホンシメジは菌根菌の仲間ですが、なかには腐生菌のような性質を持つものがあり、それを選んで研究を重ねた結果、人工栽培に成功しました。
■『NHK趣味の園芸』やさいの時間2015年2月号より

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