「つまらないものですが」はNG! 覚えておきたい訪問時のマナー

室内で渡す手みやげは、紙袋から出して。 イラスト:須山奈津希
私たちの暮らしは、人と人とのつながりで成り立っています。メールや携帯電話が普及したとはいえ、大切なことを伝えたり相談したりするときはやはり相手に直接会って話をすることになります。親しい友人同士なら、それほど難しく考える必要はありませんが、会社の上司や目上の方のお宅に伺うなど、改まった訪問の場合は、相手に不快な思いをさせないよう、基本的なマナーを知っておきましょう。
「清紫会」新・作法学院学院長の近藤珠實(こんどう・たまみ)さんに、訪問したときの玄関先でのマナーを教えてもらいました。

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約束の時間を守り、余裕を持って相手のお宅に伺います。コートを脱ぐタイミングは相手に合わせて。玄関の正しい上がり方も覚えておきましょう。

■Q. 約束の時間より早めに着いてもよい?


■A. 早すぎるのは迷惑です。

約束の時間は必ず守り、時間ちょうど、または3分過ぎまでにチャイムを押します。約束よりも早いと、相手はまだ準備中かもしれません。早く到着したら近所を散策するなどして、時間を調整しましょう。逆に何かの事情で10分以上遅れそうなときは、分かった時点ですぐに電話を入れ、到着予定時刻を伝えます。

■Q. コートはどこで脱ぐ?


■A. 玄関の内側で脱いでOK。

昔はコートを「ちりよけ」と呼び、外を歩いてほこりや汚れがついているもの、という感覚があったため、訪問時の作法としては玄関の外で脱ぐものとされていました。しかし道路が舗装され、土ぼこりが舞うことも少なくなった現代では、欧米のマナーに従い、玄関の内側で「どうぞお上がりください」と言われてから脱ぐのが主流になっています。ただし厚手のマフラーや手袋などは、玄関に入る前にはずしておいたほうがいいでしょう。

■Q. 手みやげはいつ渡す?


■A. 部屋に通されてから渡します。

手みやげの種類にもよりますが、基本的には部屋に通されてあいさつをしてから渡すものです。アイスクリームや生花などの場合は、玄関であいさつをしたあと、「アイスクリームなので、すぐに冷蔵庫に入れてください」「すぐにお水に浸してください」などとひと言添えて、玄関を上がったところで渡してもいいでしょう。その場合は、紙袋などに入れたままでもかまいません。

■「つまらないものですが……」は失礼!

昔は手みやげを渡すときの決まり文句のように、「つまらないものですが」とへりくだった言い方をしましたが、現代はかえって失礼な印象を与えてしまいます。「おいしいと評判のお菓子なので、みなさまで召し上がっていただきたいと思いまして」「ワインがお好きとお聞きしました。お口に合うとよいのですが」などと切り出したほうが、こちらの気持ちが伝わりますよ。
■『NHKまる得マガジン いまどきの 冠婚葬祭とおつきあいのマナー』より

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