大人の女はカネで解決! 女が女に癒される時間って?
- 『今夜もカネで解決だ』
- ジェーン・スー
- 朝日新聞出版
- 1,404円(税込)
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同世代女性から圧倒的な支持を得て、今やメディアで引っ張りだこのジェーン・スーさんが、『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ文庫)や『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎文庫、第31回講談社エッセイ賞受賞)などの話題作に続き出版した『今夜もカネで解決だ』(朝日新聞出版)は、働く女性たちに捧げられた一冊と言っても過言ではないでしょう。
スーさんといえば作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニスト、音楽クリエイター集団agehaspringsでの作詞家としての活動に加え、TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」でパーソナリティーを務めるなど活躍の場は多岐にわたっています。それだけに体の疲れもまた一入の様子。そこで、「そうだ、マッサージに行こう。」(本書より)と、癒やしを求めて街を彷徨い歩きます。
一口に癒やしと言ってもその種類は実に様々! 肩こりなどをほぐす、いわゆる普通のマッサージを筆頭に、シャンプーや頭皮マッサージ、整骨院、足裏マッサージ、アロママッサージ、スパ、ホットストーン、ストレッチ、ヒノキの酵素風呂、ヨモギ蒸し、鍼、岩盤浴、スウェディッシュマッサージ、湯治、生姜桶、灸、腸マッサージ、痩せるドライヤー、ネイルケア、さらには自宅で使う快眠グッズ、電動アシスト自転車、マッサージチェア......と、頭の先から爪の先に至るまで、世の中にはこれほど癒やしがあふれていたのか! と驚かされます。もちろんすべては、それなりの対価を払わなければ得られないもの。だからこそ「カネで解決」に繋がるのです。
しかし本書で取り上げられるマッサージとは、単に体をほぐす有料サービスというだけにとどまりません。岩崎宏美さんの名曲「聖母たちのララバイ」の一節を引き合いに、「大人になってみたら、なるほどこの都会は戦場だ。しかし、そこには男戦士だけでなく、傷を負った女戦士もたくさん横たわっているではありませんか。」(本書より)と、働く女性が明日の英気を養うために安心して身を委ねられる先としての、ちょっとした駆け込み寺という意味合いも持っています。そして倒れ込む先に待っているのは同性のセラピストさんたち。
「『女の敵は女』ですって? ご冗談を。女を癒すのは、女です。」(本書より)
たかがマッサージと言うなかれ。それは、女同士喋り倒して憂さを晴らす女子会でさえも到達できない境地なのです。