SMAPの解散はアイドルの生前退位? 大人のためのSMAP論
- 『大人のSMAP論 (宝島社新書)』
- 速水 健朗,戸部田 誠,みきーる
- 宝島社
- 778円(税込)
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2016年12月31日、とうとうSMAPが25年間の歴史に幕を閉じ、解散します。
国民的アイドルでありながら、テレビの中では気取らない姿でバラエティーも数多くこなしてきたSMAP。もはや紹介する必要のないくらい当たり前のように私たちの日常に存在し、ナショナルアイドルとして君臨していたSMAP。そんな"国民の象徴的アイドル"の偉業や解散をめぐる一連の騒動を、気鋭の評論家・速水健朗氏、テレビをこよなく愛するテレビビウォッチャー・戸部田誠氏(てれびのスキマ)、"ジャニヲタ・エバンジェリスト"みきーる氏の3人が語り尽くしたのが、本書『大人のSMAP論』です。
事の発端は今年の1月中旬、各紙及び週刊誌上で"SMAP解散""元マネージャーが年内に独立"という報道が流れたことです。世間は驚きと悲しみに包まれましたが、その後の1月18日に「SMAP×SMAP」(フジテレビ系列)の番組内でSMAPによる「謝罪生会見」が行われ、物事は一旦収束したかのように見えました。この謝罪会見は瞬間最高視聴率37%超という高視聴率を記録し、ファンによるCDの買い支え運動が行われるなど、"SMAP解散報道"の余波は大きかったのではないでしょうか。
しかし結局、オリンピック真っ只中の8月14日、事務所から正式にSMAPの解散が発表されることに。このニュースはテニス男子シングルス準決勝の試合中にニュース速報としてテロップが流されたので、試合を見ていた多くの人が息を呑んだのではないでしょうか。
彼らの偉大さは、そのファンの影響力にある、とメディア論に詳しい速水健朗さんは分析します。
「最初の報道は、完全な造反劇でした。元マネージャーがSMAPを引き連れて事務所を退所する。スポーツ紙の表現も、木村拓哉を除く4人を悪者にして"造反である"という形でしたが、途中から明らかに報道の論調が変わった。メディアが完全に事務所側についていたところから、ファンや世間の"それはおかしい"という声を受けて変わっていったという興味深い現象でした。」(本書より)
そんな多くのファンに愛されたSMAP。まだ解散することを受け入れられない、という人も多いでしょう。『ひみつのジャニヲタ』などの著者でもあり、ジャニーズファン暦20年のみきーるさんは、SMAP解散への悲しみや再結成を熱望する気持ちを「夜空ノムコウ」の歌詞になぞらえてこう締めくくっています。
「"SMAPがいない世界"が昏い(くらい)"夜空"だとしたら、夜空のむこうにはもう、"SMAPがいる明日"が待っていると信じたい。
SMAP、それは日出づる国に立ちし5人の益荒男(ますらお)。
どうか、永遠に。」(本書より)
19日に放送された「SMAP×SMAP」では、最後の「ビストロSMAP」に5人と親交の深かったタモリが最後のゲストとして登場し、5人にねぎらいの言葉を贈っていました。12月31日でSMAPは解散となりますが、彼らはきっとまた、奇跡を見せてくれるに違いありません。