官僚になれず「挫折」した秋元康と鈴木おさむが語る「天職とは何か」

天職 (朝日新書)
『天職 (朝日新書)』
秋元康,鈴木おさむ
朝日新聞出版
821円(税込)
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 昨日、情報番組『5時に夢中!』(東京MX)において、AKB48などのプロデュースを務める作詞家・秋元康氏のとある「告白」が話題となりました。それは、学生時代に官僚を目指していた秋元氏が、自分自身を「ドロップアウトしてる」と称した発言でした。

 この告白は、秋元氏と『SMAP×SMAP』や『いきなり!黄金伝説。』『ほこ×たて』などの人気番組を手がける放送作家・鈴木おさむ氏との共著『天職』にて明かされたもの。2人のヒットメーカーが、その経験から「仕事」と「天職」について語り尽くしている書籍です。

 高校時代に、ハガキ職人をきっかけにプロの放送作家となり、多忙を極めるようになった秋元氏。志望していた東京大学への受験を叶えられず、そのまま放送作家の道を進みました。東京大学へ進学できず、また目標としていた官僚にもなれなかった秋元氏は、このことを「ドロップアウト」と感じているそうです。その後、作詞活動も行うようになった秋元氏は、美空ひばりの「川の流れのように」や小泉今日子の「なんてったってアイドル」などのヒット曲を手がける作詞家となりました。

 秋元氏は、業界随一の大物プロデューサーとなった今でも、自ら現場に立ち、作詞を行っていると語っています。AKB48は周辺ユニットの楽曲も含めると800曲近くあるそうですが、秋元氏はそのすべてを作詞しているそうです。他のプロジェクトも並行して手掛けている訳ですから、仕事への熱意とバイタリティには目を見張るものがあります。

 それは鈴木氏が、「秋元さんはもしかしたら、AKB48の会議とかに出て楽しくいろいろ言ってるだけでしょとかって、思う人もいるのかもしれないけど、僕には、秋元さんがちゃんと、こう、汗をかいてる感じがわかるんですよ」と語るほどです。

 しかし、秋元氏は「『まわりから、仕事し過ぎじゃあないですか?』と言われてもピンと来ない」のだそうです。なぜならば「仕事が楽しいから」。そして、「天職に就いているから」です。
 
 望みどおりに官僚になっていれば、秋元氏はきっと「天職」にたどり着くことはできなかったことでしょう。「成功とは、才能や努力で決まるものではない」と語る二人が、仕事に夢中になって取り組み、「天職」に出会うまで。その道のりと仕事への情熱が、惜しみなく語られている本書は、仕事に悩む人への示唆に富んだ1冊です。

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