「熱心に勉強する社員」と「コンビニに買い出しに行く社員」 会議で優秀なのはどっち?
- 『なぜマッキンゼーの人は年俸1億円でも辞めるのか?』
- 田中 裕輔
- 東洋経済新報社
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その動向に注目が集まり、何かと話題の橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」。実は外資系コンサルタント会社の大手「マッキンゼー・アンド・カンパニー」出身者が多いことはご存知でしょうか。
マッキンゼーといえば、高額の年収も去ることながら、有名な起業家を数多く輩出していることでも知られています。たとえば、「モバゲータウン」のディー・エヌ・エー創業者である南場智子さん、カネボウやアスキーの社長を歴任してきた小森哲郎さん、大手回転寿司チェーン「あきんどスシロー」専務の加藤智治さんなど。
『なぜマッキンゼーの人は年俸1億円でも辞めるのか?』の著者の田中裕輔さんも、マッキンゼー出身の起業家で、靴の通販サイト「ロコンド」を運営する株式会社ジェイドの代表取締役。なぜ、高額の年収を約束されているにもかかわらず、マッキンゼーの社員たちは起業していくのでしょう。
本書によれば、マッキンゼーでは常に「バリュー(価値)を出すように」と教えられているといいます。たとえば会議では、黙って聞いているだけ、勉強しているだけは許されず、会議中に何も発言しないならジュースや弁当を買ってくる方がまだバリューがあると考えるのだそうです。
その厳しさを表現する言葉として有名なものに「UP OR OUT」(成長せよ、できなければ去れ)があります。マッキンゼーにおける成長の尺度は職位。つまり、「昇進できなければ去れ」ということ。「万年平社員」なんて安住は決して許されないそうです。ちなみに、新卒で入社した場合は最大で約13年、年齢でいえば遅くとも大体35歳までにはマッキンゼーの経営陣にならなければならないのだとか。
「各個人が『寄らば大樹の陰』の思考を捨てること。そして、自らがリーダーシップを発揮して日本や世界に対してインパクト(変革)を与えること。これこそが僕がマッキンゼーの中で学んだ価値観である」(田中さん)
国や企業といった大きな組織にしがみつくのではなく、自ら人生の舵をとっていくことに価値を置くマッキンゼーの「インパクト(変革)志向」が、大阪維新の会が掲げる「大阪都構想」の基盤になっているといっても過言ではなさそうです。