幸せの国・ブータン国王夫妻の通訳が紹介する来日秘話

ワンチュク国王から教わったこと
『ワンチュク国王から教わったこと』
ペマ・ギャルポ
PHP研究所
1,296円(税込)
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 未曾有の事態を招いた東日本大震災以降、私たち日本人には改めて安全とは何か、絆とは何か、そして幸福とは何かを考えさせられる機会が幾度となくありました。その中で、国民総幸福度・GNH(Gross National Happiness)という単語を一度でも耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。

 GNP(国民総生産)に対してのGNH(国民総幸福度)を世界で初めて提唱したのが、ヒマラヤの小さな国・ブータンのワンチュク国王のお父さん(第四代国王)でした。本当の豊かさとは、一国の科学的、経済的価値観による成長だけではない。それ以上に、安心して暮らせるという心のゆとりや家族や恋人から受ける愛情が大きく起因しているのだという、私たちの生活の本質をついた新たな豊かさの指標です。

 2011年11月15日、ブータン王国第五代国王ジグミ・ケサル・ナムギャル・ワンチュク陛下と同王妃ジェツン・ペマ・ワンチュク陛下が国賓として来日されました。気品の中に威厳があり、容姿端麗で愛嬌のあるお二人。滞在中の動向は連日テレビや新聞で報道され、国会で行われた国王の演説は、「謙虚でありながら堂々とした言動に感銘を受けた」「素晴らしいスピーチに励まされた」と日本中に感動の渦を巻き起こしました。

 そんなお二人の6日間の滞在中の言動から、質素でも豊かに、誇り高く、幸せを感じながら生きるヒントをとり出しているのが、書籍『ワンチュク国王から教わったこと』です。ブータンという国や国王陛下ご夫妻についての紹介をはじめ、慶応義塾大学での講演、被災地で鎮魂の祈りを捧げる様子などを、通訳としてお二人に最も近い場所で見ていたペマ・ギャルポ氏が執筆。伝統の民族衣装を身にまとい微笑みかける美しい王妃の写真や、国王の感動的な国会演説文も掲載されています。

 さらに、福島県相馬市の桜丘小学校で子どもたちに話かけられた「すべての人の心の中に存在する、経験を食べて大きくなる『龍』の話」など、胸に響くエピソードも数多く紹介されています。ワンチュク国王の一挙手一投足に、日本中がなぜ共感し、感動を覚えたのか。その答えと、国民総幸福度を唱えるブータンという幸せの国から届けられた、温かくて明るい希望のメッセージがつまった本です。

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