日産の「美しすぎる会議」が停滞する日本に与えるヒントとは?

日産 驚異の会議 改革の10年が生み落としたノウハウ
『日産 驚異の会議 改革の10年が生み落としたノウハウ』
漆原 次郎
東洋経済新報社
1,620円(税込)
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 「美しすぎる○○」が一時流行した。「美しすぎる市議」「美しすぎる料理研究家」「美しすぎる海女」「美しすぎる書道家」など、美人と職業の掛け合わせ。こんなところにも美人がいたのかという驚きをもって人々に受け入れられた。

 いま、"美しすぎる会議"が話題だ。それは、日本を代表する自動車メーカー、日産自動車の会議。『日産 驚異の会議』の著者、漆原次郎氏が「日産の会議」と呼ぶ独自のシステムだが、無駄がなく、洗練されているところに機能美を感じるという。

 その会議の特徴を少しあげてみよう。
 「意思決定者は会議に出席しない」
 「議事録をつくらない」
 「その日にはじまり、その日に結論を出す」......。

 日本の会議における慣習や常識から考えると、驚くべきものばかり。これで本当に建設的な会議が成り立つのか? と不思議な気持ちになる人も多いだろう。

 上に記したうちの一つ、"「意思決定者」不在の論理"を見ていこう。

 たとえば会議が朝9時に始まったとする。すると、意思決定者は9時半ごろに遅れて会議に出席し、「今日はよろしくお願いします」とあいさつ。そして、その日の課題に対する質問に答えると、すぐに退出。あとは、夕方の時間帯に、会議出席者で考えた方策案に対して採用するかしないかの判断を下し、彼らにねぎらいの言葉を発するだけだという。

 なぜ、こんなやり方が採用されているのか。それは、社長や部長などの長である意思決定者が会議に参加すると、いくつかのデメリットがあるからだ。一つは意思決定者の発言が、提案に"バイアス"をかけてしまうから。意思決定者の顔色をうかがいながら進行する会議。誰もが経験済みだと思うが、会議の参加者全員が意思決定者の醸す空気を読んでしまい、長が気に入らない提案をした場合、本来の趣旨と違う発言になったり、トーンダウンしてしまうからだ。

 また集団の長であるがゆえに、彼らは課題の範囲を広げがち。過去のエピソードを話すなど、議題が拡散してしまうことがしばしばある。本人たちに悪気はないが、会議の効率が下がるばかりなのだという。

 20世紀後半の経営危機から脱却し、2011年は2年連続で海外生産台数が過去最高を記録した日産。立て直しが成功した裏には、こんな美しい独自の会議システムが存在していた。

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