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【「なぎら健壱さん、冒険小説王への軌跡」】【アノヒトの読書遍歴】 第1回:なぎら健壱さん(前編)

「なぎら健壱さん、冒険小説王への軌跡」

 昭和38年8月27日。キング牧師が、かの有名な演説(I Have a Dream.)を行う前の日。活字嫌いだった小学生のなぎら健壱さん(当時11歳)は、読書に目覚めた。

「やれグリム童話だなんだって。大人から読め読め言われていた本、これがまた面白くなかったんですよ」

 そんななぎらさんが、読書感想文の題材を探しに出掛けた古本屋で、表紙絵に惹かれて手にとったのが江戸川乱歩の少年探偵団シリーズ『海底の魔術師』だった。

「2、3時間で読んじゃったんですよ。世の中にこんなに面白い本があるのかって。で、その日のうちにもう一冊買いに行きました。今度は『サーカスの怪人』というのを」

 それからは活字好きまっしぐら。少年探偵団シリーズを全巻網羅してやろうと、少ない小遣いを握りしめ、当時暮らしていた葛飾区中の古本屋をまわって少しずつ集めた。こだわりは、すでに絶版になっていた"光文社"版。当時、ポプラ社版は新刊書店で簡単に手に入ったが、古色がある挿絵で、より"おどろおどろ"度が高い光文社版こそが、なぎら少年のハートを鷲掴みにしたのだそう。少年探偵団の後は、シャーロック・ホームズやアルセーヌ・ルパンなどの探偵小説、十五少年漂流記やロビンソン・クルーソーなどの冒険ものへと繋がっていくが、本を買うのはいつだって古本屋だった。

「古本屋には"こんな本が出てたのか!"という驚きがある。それを発見するのが好きだったんだね。本に囲まれた空間自体も好きだったけれど、図書館はあまり好きになれないね。自分の本にしないと読みたくないんです」

 ちなみに小学生の時に開眼した冒険小説。その嗜好は今も持続している。

「かつて内藤陳さんが、ミステリーもサスペンスもハードボイルドも警察小説も、全部含めて"冒険小説"と命名しましたが、今でも好きで読むのはそういうものがほとんど。現実なのか非現実なのかがわからなくなるという面白さ。けたぐりくらったようなどんでん返しとかね。お勧めできるもの? 万人にというのはなかなか難しいけど、最近では『ミレニアム1 ドラゴンタトゥーの女』。今年最高は『モーツァルトの陰謀』だね。古いところで『A-10奪還チーム出動せよ』『針の目』『オデッサ・ファイル』あたりも間違いないでしょう」

 今まで何千冊と読破してきたなぎらさんが選んだ"間違いない"冒険小説。今すぐ本屋へ立ちこぎだ!

〜後編は、なぎら健壱さんの聖徳太子型読書法。お楽しみに!〜

※このインタビューの一部は、 2011年1/8(土) 23:00~23:54 『J-WAVE BOOK BAR』(J-WAVE 81.3FM)でオンエア予定です。

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