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プロレス×映画

「ディティールよりもやり切った感が大事」というプロレス的開き直りケツ作『尻怪獣アスラ』

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 あらゆるモノがネタにされるプロレスでは「お尻」もその例外ではありません。"Mr.アス"のニックネームで美ケツをギミックの売りにしていたビリー・ガンを始め、越中詩郎の十八番技ヒップアタックなどレスリング面においても確立されたジャンルです(多分)。

 そこで今回のお題は"尻が主役"の『尻怪獣アスラ』(2004)。以前ご紹介したジェフ・リロイ作品同様、日本の怪獣特撮映画をパロディにしたチープ&デストロイなケツ作です(褒めてない)。

 休暇でメキシコを訪れた主人公は、ビーチで昼寝中、死の粘液を持つカエルにケツ穴をガバガバされちゃって、痛みを憶えて肛門科に駆け込んでみたらまさかの余命数時間宣告。謎の日本人ドクター、ワンサムサキ(日本人の名前なのかという疑問は捨てよう!)によるアトミックな治療を受けるも、ケツ穴洗浄をし忘れたせいで、主人公のケツは「尻怪獣アスラ」に突然変異!
 主人公から分離・巨大化した「アスラ」はロサンゼルスを地獄絵図に変えてしまうのだった......。

 文章に起こしただけで白目を剥きそうですが、幕間に挟まれる妖精姉妹の歌が完全に「モスラ~、やっ」の替え歌だったり、「放射性物質で怪獣化」というお約束設定や有名怪獣の名前を台詞に盛り込んだりと、日本特撮作品へのリスペクトが伺えるのが特徴。
 ただ、そこに視聴動機を求めてしまうと壮絶な肩透かし、いやヒップアタックを浴びることになります。

 なんせ肝心の怪獣特撮シーンは後半のみ。そこに至るまで眼精疲労感甚だしいショッパイ映像技術と、小学生レベルのギャグ&ガス漏れ(放屁)演出の波状攻撃を耐え凌がなくてはならないのです!

 プロレスでいうなら、お気に入り選手の出場試合目的であまり馴染みのないインディ団体興行を観戦したら、目当ての試合まで延々と内輪ネタを見せられ、戸惑いと後悔の念にさいなまれるあの感覚。

 ストーリー的には中盤から色々と動き出しますが、本作の本性もこの辺りから顕著に。

 嫁の不倫現場を目撃するも、逆ギレした嫁に三行半を突きつけられた主人公。1人自宅に帰ってふて寝すると、主人公の怒りに感化されたケツが「尻怪獣アスラ(幼生)」として覚醒・分離。翌朝、嫁と不倫相手はウンモまみれの死体で見つかり、その現場から主人公の家までウンスジが続いていた!
 それを『羊たちの沈黙』のジョディ・フォスターもどきのメンヘラ女刑事が捜査し始めパロディ・スリラー展開へ。

 このパートが無駄に長いことから、本作の製作・監督・脚本のマーク・ピロー氏的には「スリラー要素こそが俺の本分!」てな感じの主張が感じ取れて妙に癪に障るものの、その大胆なパクリ体質はプロレス界に相通じるものがあります。

 さらに正直ケツというより硬そうなオッパイみたいな「アスラ」のデザインを押し通したその開き直りは、「ディティールよりもやり切った感が大事!」という、プロとしての開き直りの重要さまでをも再認識させてくれます。

 アスラ討伐のクライマックスシーンは出来ればその目で確認して欲しいので敢えて伏せますが、耐えに耐えてようやく観られたお気に入り選手の試合がとんでもないクソ試合だった......そんなケツ末です(※)。

(文/シングウヤスアキ)

※騒動解決後のエピローグで主人公がケツ復元手術を受けたあと、今度はおタマタマが「スクロトン」に突然変異。次回作の怪獣はこれやで!というオチだったんですが、2014年1月現在、続編は確認出来ず。観たいような観たくないような......やっぱりもう観たくない!

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シングウヤスアキ

会長本人が試合までしちゃうという、本気でバカをやるWWEに魅せられて早十数年。現在「J SPORTS WWE NAVI」ブログ記事を担当中。映画はB級が好物。心の名作はチャック・ノリスの『デルタ・フォース』!

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