アクは取る?味つけのしかたは? 料理のプロに聞く煮物のキホン

撮影:邑口京一郎
具材も味も、煮る時間もさまざまな “煮物”。なんとなくつくってきたけれど、ホントはどうつくるのが正解? 今さら聞けない煮物のキホンを、料理研究家の山本麗子(やまもと・れいこ)さんと高井英克(たかい・ひでかつ)さんに、それぞれの観点から教えてもらいましょう。
※高井さんの高の字は、正しくは「はしごだか」です。

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■Q 煮物にはどんな鍋がおすすめ?

山本さん:おすすめは、食材に均等に熱が伝わる厚手の鍋です。大きさは、ある程度ゆとりがあるものがいいですね。2~4人分なら、直径20~22cmがいいでしょう。同じ料理でも、鍋が変わるだけで味も全然違うものですよ。
高井さん:いちばんよく使うのは、アルミの行平鍋です。熱伝導がよく、熱に強く、軽くて使いやすいですね。焼きつけてから煮る場合は、少し深さのあるフライパンが便利。煮汁が蒸発しすぎないよう、ふたをして煮るといいですよ。

■Q アクは取らなきゃダメ?

山本さん:アクはうまみでもあるので、神経質にならず、自分が気になるところだけ除けばよいと思います。そもそもアクは、温度の低い煮汁に肉などのたんぱく質を入れたときに出てくるもの。だからアクを出にくくするには、アツアツの煮汁から煮たり、先にたんぱく質に火を通しておいたりするといいですよ。
高井さん:肉や魚などのたんぱく質と野菜を一緒に煮るときは特に、アクをしっかり取ったほうが雑味が取れてすっきりと仕上がります。煮立ったら中心に集まってくるアクを丁寧にすくい取って弱火にし、あとは時々出てくるアクをすくう程度で大丈夫です。

■Q 味つけのしかたがわからない……。

山本さん:味つけの順番は、基本は「さしすせそ」の順がよいと思います。砂糖は食材を柔らかくする効果があるので最初に。しょうゆやみそは香りが抜けないように仕上げに。注意するのは、塩。塩は入れすぎてしまうと取り返しがつかないので、まずは少なめに加えて、味をみながら調整していくと失敗がないですよ。
高井さん:あらかじめ味つけをした煮汁で煮ると、準備がラクです。毎回、味が変わってしまう……といったこともありません。市販の塩こうじやポン酢しょうゆも便利ですね。酒は隠し味として使います。みりんは上品な甘さやつやが欲しいときにプラスするといいですよ。
■『NHKきょうの料理』2021年11月号より

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