登紀子ばぁばの和食のこころと名作レシピ

撮影:工藤雅夫
長年「きょうの料理」の講師として和食の魅力を伝え続け、2020年12月に逝去された鈴木登紀子(すずき・ときこ)さん。「ばぁば」の愛称で親しまれた鈴木さんの、和食のこころと、名作レシピを振り返ります。

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■登紀子ばぁばの和食のこころ




あでやかなもてなし膳や行事食から、財布にやさしい経済的な料理まで、家庭料理の豊かさ、温かさを伝えてきた鈴木さん。「ばぁばでございます」というあの柔らかな声、今なお余韻が耳に残ります。
「きちんとした料理をきちんと伝えたい」という思いから、レシピは少々長め。「里芋と豚肉の煮っころがし」にも、豚肉を焼いたあと熱湯で脂抜きするひと手間が。
「だっておいしく食べてほしいじゃない?」。そうほほえみながら、食べる人を思っての小さな手間が大きな差となって結実することを私たちに教えてくれました。
また、とりわけお得意だったのがご飯物。春の花野のようなちらしずしや太巻き、故郷・青森の山菜や漬物を刻んだ素朴な混ぜご飯。鍋炊きの「炊きおこわ」も、秋の祭事に欠かせないご自慢の一品です。
「高価な食材でなくても、食べ手を思って丁寧に。それが家庭のごちそう」。実りの秋、ばぁばが遺(のこ)してくれた言葉と味を、しみじみかみしめてみませんか。

■里芋と豚肉の煮っころがし

秋の味覚、里芋の煮っころがしに豚バラ肉を加えて、こっくりと仕上げます。ボリューム感も味のバランスも抜群の一品。


※つくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理』2021年10月号より

NHKテキストVIEW

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