「囲碁の世界は優しくてすてきな人ばかり」 声優・照井春佳さんインタビュー
- 撮影:小松士郎
新講座の聞き手を務める声優の照井春佳さんは、昨年11月放送の『囲碁フォーカス』では「囲碁に魅せられた女性たち」の一人として紹介されました。その折の話題は、4か月で初段試験に合格し、当時の番組講師の平田智也七段から免状を授与されたことでした。その後、今年の3
月にはその平田七段と電撃結婚! そして、8月から『囲碁フォーカス』のレギュラーにと、とんとんとんと囲碁との縁が深まっていった照井さんに、囲碁や声優の仕事のことなどをお聞きしました。
* * *
――囲碁を始めたきっかけを教えてください。
照井「何年か前にテレビで脳科学の先生が、脳はほうっておくと退化するというようなことを話していたんです。それを聞いてからずっと、『脳を鍛えなきゃ!』と危機感を持っていました(笑)。『いつか囲碁か将棋かチェスをしたい』と思っていたのですが、なかなか時間を作れなくて…。昨年の春、1回目の緊急事態宣言が出た時に、プライベートの時間が増えたので始めるなら今じゃないかと。20年以上前からずっと『ヒカルの碁』が大好きなので、まずは囲碁からやろう!と決心しました」
――囲碁はどのように勉強しましたか?
照井「いざ囲碁を始めようと思っても、どう勉強したらいいか分かりませんでした。手始めにアプリで19路対局や、詰碁に取り組みましたが1週間くらいでつらくなってきました。それで、『ヒカルの囲碁入門』という本を読んだのですが、そうすると実際の碁盤で打ちたくなりました。棋譜を並べて、定石を覚えるのが楽しかったですね。そして、囲碁を始めて2か月がたった頃に碁会所デビューをしました。当時は15級くらいだったと思うのですが、初めにインストラクターの方に九子で教えてもらいました。これが人との初対局です」
――初対局はどうでしたか?
照井「本で勉強するのも楽しかったですが、やはり直接教えていただけるのがうれしかったです。質問にもていねいに応えていただき感激しました」
――通うペースはどのくらいでしたか?
照井「多い時は週に4回くらい行っていたと思います。仕事前に行って、仕事のあとにもまた行ってと…(笑)。長い時は4時間くらい打っていたこともあります」
――4か月で初段に到達はびっくりです。
照井「通った碁会所のインストラクターの方に初段試験をしてもらいました。自分ではまだまだとは思っているのですが、認めてもらえたことは素直にうれしいです」
――平田智也七段と記念対局もありました。
照井「通っていた碁会所を介して、日本棋院から取材依頼を受けました。そこから事務所に相談して、正式な仕事として引き受けることになりました。インタビューのあと、日本棋院内の案内もしていただきました。『ヒカルの碁』の名シーンに出てきた場所もあって、聖地巡礼でしたね。とてもいい記念になりました。
幽玄の間での対局は本当に感動しました。初手は手が震えていたかもしれません。緊張感が最高潮ながらも、一生懸命に打って最善を尽くしたつもりでした。でもあとから並べ直してみると、何でこんなところに打ったんだろう!と、恥ずかしさに奇声をあげてしまうくらいでした(笑)」
――ふだんも平田七段と対局しますか?
照井「同居を始めた頃は、けっこう打っていました。ふだんは優しいのですが、盤上では厳しめです(笑)。200目のコミをもらって対局するのですが、勝ったり負けたりしています。ありとあらゆるプロの技を使って攻めてきます(笑)」
――それは手厳しい…。愛のムチですね。
照井「囲碁の世界は本当に優しくてすてきな方ばかりです。特に初めて通った碁会所の方々にはとても感謝しています」
※続きはテキストでお楽しみください。
※段位・タイトルはテキスト発売当時のものです。
■『NHK囲碁講座』2021年8月号より
月にはその平田七段と電撃結婚! そして、8月から『囲碁フォーカス』のレギュラーにと、とんとんとんと囲碁との縁が深まっていった照井さんに、囲碁や声優の仕事のことなどをお聞きしました。
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――囲碁を始めたきっかけを教えてください。
照井「何年か前にテレビで脳科学の先生が、脳はほうっておくと退化するというようなことを話していたんです。それを聞いてからずっと、『脳を鍛えなきゃ!』と危機感を持っていました(笑)。『いつか囲碁か将棋かチェスをしたい』と思っていたのですが、なかなか時間を作れなくて…。昨年の春、1回目の緊急事態宣言が出た時に、プライベートの時間が増えたので始めるなら今じゃないかと。20年以上前からずっと『ヒカルの碁』が大好きなので、まずは囲碁からやろう!と決心しました」
――囲碁はどのように勉強しましたか?
照井「いざ囲碁を始めようと思っても、どう勉強したらいいか分かりませんでした。手始めにアプリで19路対局や、詰碁に取り組みましたが1週間くらいでつらくなってきました。それで、『ヒカルの囲碁入門』という本を読んだのですが、そうすると実際の碁盤で打ちたくなりました。棋譜を並べて、定石を覚えるのが楽しかったですね。そして、囲碁を始めて2か月がたった頃に碁会所デビューをしました。当時は15級くらいだったと思うのですが、初めにインストラクターの方に九子で教えてもらいました。これが人との初対局です」
――初対局はどうでしたか?
照井「本で勉強するのも楽しかったですが、やはり直接教えていただけるのがうれしかったです。質問にもていねいに応えていただき感激しました」
――通うペースはどのくらいでしたか?
照井「多い時は週に4回くらい行っていたと思います。仕事前に行って、仕事のあとにもまた行ってと…(笑)。長い時は4時間くらい打っていたこともあります」
――4か月で初段に到達はびっくりです。
照井「通った碁会所のインストラクターの方に初段試験をしてもらいました。自分ではまだまだとは思っているのですが、認めてもらえたことは素直にうれしいです」
――平田智也七段と記念対局もありました。
照井「通っていた碁会所を介して、日本棋院から取材依頼を受けました。そこから事務所に相談して、正式な仕事として引き受けることになりました。インタビューのあと、日本棋院内の案内もしていただきました。『ヒカルの碁』の名シーンに出てきた場所もあって、聖地巡礼でしたね。とてもいい記念になりました。
幽玄の間での対局は本当に感動しました。初手は手が震えていたかもしれません。緊張感が最高潮ながらも、一生懸命に打って最善を尽くしたつもりでした。でもあとから並べ直してみると、何でこんなところに打ったんだろう!と、恥ずかしさに奇声をあげてしまうくらいでした(笑)」
――ふだんも平田七段と対局しますか?
照井「同居を始めた頃は、けっこう打っていました。ふだんは優しいのですが、盤上では厳しめです(笑)。200目のコミをもらって対局するのですが、勝ったり負けたりしています。ありとあらゆるプロの技を使って攻めてきます(笑)」
――それは手厳しい…。愛のムチですね。
照井「囲碁の世界は本当に優しくてすてきな方ばかりです。特に初めて通った碁会所の方々にはとても感謝しています」
※続きはテキストでお楽しみください。
※段位・タイトルはテキスト発売当時のものです。
■『NHK囲碁講座』2021年8月号より
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