タネと球根はどう違う?

ころんとした形がかわいいチューリップの球根。撮影:福田 稔
秋になると園芸店で目立つのが球根です。いろいろなサイズや形があっておもしろい。でも、これってタネとどう違うの? 植えたらずっと咲くのかしら? 5歳のときから球根に夢中という園芸研究家の若松康史(わかまつ・やすし)さんが愛を込めて球根とは何か、基本のキから教えてくださいました。

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■タネと球根はどう違う!? 球根って何だろう

球根はタネが大きくなったものと思われる方が多いかもしれないので、その違いから説明しましょう。チューリップは咲き終わるとタネをつくります。そのタネをまくと発芽して茎葉は育つものの、パンジーなどと違って開花まで何年もかかり、花も親そっくりとは限りません。一方、地中の球根を育てると親とまったく同じ花が翌年咲きます。タネが子どもなら、球根はクローン(分身)にあたります。

■球根はどんな形? どんなふうに売られているの?

球根とは、生育するための養分を、地下の肥大した根や茎や葉など、さまざまな部位に貯蔵するものの呼び名です。学術的に定義されていない園芸用語で、養分を貯蔵する部位によっては「球」のイメージとかけ離れた形のものもあります。
実際に球根売り場を見ると、サイズや形もいろいろな球根が並んでいます。葉を肥大させて養分を貯蔵するものを鱗茎(りんけい)、地下茎に蓄えるものを球茎(きゅうけい)や塊茎(かいけい)と呼び、根を肥大させるものを塊根(かいこん)といいます。乾燥に弱いものはポット苗の状態で販売されることが多いので、球根とは気づきにくいかもしれません。
近年は、早く花芽をつけたポット苗で店頭に並ぶ「芽出し球根」もふえています。ひと足早い春を手軽に楽しめると人気です。そうして咲かせた球根も、翌年はぜひ自分で咲かせてみましょう。
■『NHK趣味の園芸』2020年10月号より

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