寒くなっても野菜は育つの? 冬越し野菜のメカニズム

撮影:栗林成城
冬の寒さを最大限に利用して、春夏に収穫する冬越し野菜。恵泉女学園大学人間社会学部教授の藤田 智(ふじた・さとし)さんが、冬越し野菜のメカニズム、栽培のコツをわかりやすく紹介します。ぜひ参考にしてください。

* * *


■Q1 冬になっても野菜は育てられるの?

A. 育てられます


野菜の多くは冬の寒さが苦手ですが、なかには収穫を迎える前に寒さを必要とする野菜があります。これらは秋に栽培をスタートし、冬を越して翌春以降に収穫することから「冬越し野菜」と呼ばれます。このほか、比較的寒さに強いダイコンやホウレンソウなどのタネをまき、保温用シートを使って一定の温度を保つことで発芽や生育を促す「トンネル栽培」という栽培方法でなら、冬でも育てられます。(Q3参照)

■Q2 冬越し野菜って、どんな野菜?

 

A.主に2つのグループがあります。


1つは、寒さに当たって花芽(はなめ)ができる「果菜類」。エンドウやソラマメ、イチゴなどです。もう1つは、冬を越して、翌春以降に球(食用部)が肥大する「葉菜(ようさい)類」。タマネギやニンニク、ラッキョウなどです。どちらも長い冬を越す分、栽培に手間がかかり難しいと思うかもしれませんが、冬の間、地上部はほとんど成長せず、病害虫のリスクも少なめ。栽培のコツさえ押さえれば、初心者でも気軽にチャレンジできますよ。

■Q3 冬に育てるダイコンや、ホウレンソウなどは、「冬越し野菜」ではないの?

 

A「. 冬越し野菜」とは呼びません。


なぜならダイコンや、ホウレンソウなどの生育には、冬の寒さは必須とはいえず、むしろ寒さは成長の妨げになるからです。そのため、これらの野菜を冬に作る場合は、とう立ち(※)しにくい品種を選び、防寒用資材をトンネルがけして保温するなどの工夫(トンネル栽培)をして育てます。
※とう立ち…花芽ができ、花茎(かけい)が伸びること。収穫前にとう立ちすると、可食部に影響が出る。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2020年10・11月号より

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