覚えておくと重宝する丼物の味つけの割合

親子丼 撮影:蛭子 真
連載「割合でつくる だしいらずの和食」では、京都の老舗料亭の3代目、村田吉弘(むらた・よしひろ)さんが「だし」のかわりにうまみたっぷりの食材を使った料理を紹介しています。9月号では、牛肉、鶏肉、たまねぎなどをだしがわりにした丼物をつくってくれました。

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最近は、糖質控えめの風潮もありますが、具とご飯が一体となった丼物が大好物な方は多いんやないかと思います。私も、時々無性に食べたくなります。
丼物の具は、白いご飯に最適な味つけがされています。特に今回ご紹介する親子丼、牛丼といった肉系の定番丼は、甘辛味が基本です。
すき焼きもそうですが、この甘辛い味つけというのは、ついご飯が食べたくなってきます。外国の方にとっても好みの和食の味のようなのですが、このちょっと甘さを感じる味つけというのが、ほかの国にはあまりない日本ならではのものだからやないかと、私は思っています。
この甘辛い味つけの割合は、7:5:3。酒、みりん、しょうゆを使います。
ちなみにわれわれのような日本料理店では、この割合はあまり使いません。多いのは、1:1:8(しょうゆ、みりん、だし)など。しょうゆとみりんは同量の割合の出番のほうが圧倒的に多いのです。というのも私どもは、最後の締めにご飯をお出ししますが、それまでの料理は白いご飯が恋しくならない、甘辛くない味つけにするからです。
しかしながら、ご家庭の場合は白いご飯に合うおかずをつくることが多いわけですから、今回の割合は、丼物に限らず幅広く使えます。たとえば買ってきた豚カツを煮て「カツ煮」にしたり、牛肉とささがきごぼうを一緒に煮て「柳川風」にしたり……。
ただまあ、それらをおかずとして食べるのもよしですが、丼にご飯をよそって、その上にのせたくなってしまいます。具とご飯が一緒になっているのは、やはり魅力的です。ああ、何だか急に、卵がトロトロの親子丼が無性に食べとうなってきました。
■『NHKきょうの料理』連載「割合でつくる だしいらずの和食」2020年9月号より

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