育てたくて、描きたくて──植物の生命力を描く画家、オオワダサオリさん

1〜2年前に買った竜神木(りゅうじんぼく)を手に。「一回り大きくなりました」 撮影:安部まゆみ
繊細な描写で、細部まで描き込まれた植物画。画家のオオワダサオリさんの作品は、植物への愛に満ちています。なかでも多肉植物、特にサボテンが好きという彼女に、自慢の一鉢を見せていただきました。

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はがきサイズの絵から壁画まで、さまざまな植物をのびやかな筆致で描く、画家のオオワダサオリさん。5〜6年ほど前から植物をメインテーマに制作を続け、なかでも多肉植物を多く描いています。
オオワダさんが植物に目覚めたきっかけは、体を壊したこと。療養生活中、自分がよく木の写真を撮っていることに気づき、それを絵に描いてみたそう。
「たちまち夢中になりました。特に幹や樹皮は、描きながら、植物が生きていることを感じられる。『この生命力を絵に落とし込みたい!』と思いました」
植物を描き始めた当初、目を向けたのが多肉植物。その後サボテンにも関心が広がっていきました。
「個性的な形は見ているだけでもわくわくしますが、透けて見える葉脈や、ずんぐりとした塊根(かいこん)、今にもはがれそうな古い樹皮といったディテールを目にすると、ああ描きたい、と思います。多肉の柔らかい葉やサボテンの綿毛は難しいですが、描きがいがあります」
主にアクリル絵の具を用いて描かれる、彼女の多肉は、透明感ある色合いと静かな力強さが印象的。一見写真と見まごうリアルさがありながら、どこかファンタジーっぽく、不思議な形の魅力が強調されています。
「葉や根などのパーツは、できるだけ本物に近く描いています。一方で、全体の形は想像をプラスして、実際より少し見栄えよく。依頼を受けて描くときも、『花を咲かせてほしい』といった要望をいただくことが多いんですよ」
※続きはテキストでお楽しみください。
■『NHK趣味の園芸』2020年9月号より

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