推し棋士を作ろう! 佐藤天彦九段編

撮影:河井邦彦
プロの将棋を勉強したり、自分で指して上達を目指したい人。棋士のキャラクターや、さまざまな周辺情報から将棋界を楽しむ人。この数年で将棋界をめぐる環境は変わり、ファンも多様化してきました。その人の将棋が好き、人柄が好き。全部含めて応援したい棋士、すなわち「推し棋士」を作ろうというのが今回の企画です。木村一基王位がナビゲーターとなり、長屋に住む八五郎さんと熊五郎さんの推し棋士作りをサポートします。3回目の推し棋士候補は第70 回のシード組と、厳しい予選を勝ち抜いた棋士などです。

* * *


■深く掘るのはそれぞれの楽しみ!

熊 これはうまくやられたかなぁ。たいしたもんだよ。こう逃げたらどうだい?
八 むむっ。それは考えなかった。やっぱり簡単じゃねえな。
熊 いいよいいよ、じっくり考えてくれ。おっ、そろそろ来るかと思ってたら来たね。パチリ、パチリと……。
木 駒音響くところに暇人が集まる……って、誰が暇人だってんだい!
熊 ノリツッコミとは機嫌がよさそうですね、木村の旦那。
木 やってるねぇ。で、局面は…ふむ、これは絶好の一手がありそうな。
八 旦那、それは岡目八目ってんだ。もう少し考えたいから、そっとしてくれ。
熊 プロ棋士に対して岡目八目たぁ、ハチは向こう見ずなこと言いやがる。
木 ははは、構わないよ。ハチ公は毎週NHK杯戦を観て目が肥えてるからな。いい手を知ってるはずだ。
熊 じゃ、ヤツが考えている間に例の推し棋士探しを始めやしょうか。

■見本になる棋士 佐藤天彦九段

熊 最初は名人3期の実績がある佐藤天彦九段だな。旦那は昔からつながりがあるとか聞いたような。
木 天彦さんが奨励会時代に福岡から出てきたとき、縁があって1対1の練習将棋をやることになったんだ。
熊 後輩と将棋を指すのが面倒になったりすることはないのかな?
木 自分も先輩に教わって強くなったんだ。彼は当時からしっかりしていたから、こっちが勉強になることも多々あったよ。
八 天彦さんといえば終局前にリップクリームを塗ることで話題になったよな?
熊 なんだいお前は。もう将棋を指すのは飽きたってかい?
八 だってそっちが楽しそうなんだもん。両方やったっていいだろ。
木 もちろんだよ。話を戻すと、天彦さんは姿がいいんだ。負けるときは悔しいに決まってるけど、感情を表に出さずに「負けました」ときちんと言う。棋士にとっても見本だと思う。
※ほかの推し棋士候補はぜひテキストで! 「カズキ王位からの挑戦状」も掲載しています。
※肩書はテキスト掲載当時のものです。
■『NHK 将棋講座』2020年6月号より

NHKテキストVIEW

NHK将棋講座 2020年 06 月号 [雑誌]
『NHK将棋講座 2020年 06 月号 [雑誌]』
NHK出版
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

« 前のページ | 次のページ »

BOOK STANDプレミアム