ありがとう 城戸崎愛さん
- 城戸崎愛さん 撮影:山本明義
長年「きょうの料理」講師として活躍された城戸崎愛(きどさき・あい)さんが、今年2月、逝去されました。その足跡と名作レシピを振り返ります。
* * *
城戸崎さんの番組初出演は1971年。まだ西洋料理が大いなる憧れだった時代でした。その手から生み出される白くなめらかなベシャメルソースやぶどう酒色の煮込み、黄金に輝く塊肉のローストは主婦たちを魅了。日本の食卓に夢を与え、その夢を主婦が台所で実現するために、数々の本場の技術を惜しみなく披露してくれました。
また「国は違っても長く伝えられてきた家庭料理の原点はそう変わらない」という持論のもと、季節感あふれる昔ながらの和の総菜も指南。「誰でも最初は初心者。まねから始めればよいの」と若いビギナーを勇気づけ、自身が高齢となってからは料理がおっくうになった同世代に向け、無理せず日々の食を整える知恵を伝授しました。
幅広い世代に愛されたのは料理のみならず、歯切れのよい語り口や包み込むような人なつこい笑顔。その笑顔は実は、20歳代で結核、30歳代で子宮がん、60歳代で糖尿病と、数々の大病を乗り越えた末のものでした。「生きることは食べること」を身をもって実践し、次世代に「まっとうな料理」を伝えていくことに心を砕いた、約60年の料理家人生でした。
「料理は愛情と知恵と工夫の産物」。昭和の時代から城戸崎さんが繰り返し説いたこの言葉は、令和の世にあってなお深く響きます。料理はつくり手の写し鏡。お人柄そのままの温かみと品格、そして食べ手への愛に満ちた一皿一皿を、私たちは忘れません。
ご冥福をお祈りいたします。(編集部)
■豚肉のオルロフ風
1993年5月号「創刊35周年特別企画」で紹介した、在パリ時代からつくり続ける献立のメイン料理。クラシカルなエッセンスあふれるごちそう。(撮影:佐伯義勝)
■鶏肉のしょうゆ煮
2003年6月号「六月の献立」で掲載の和風献立の主菜。昔は「かしわの紫煮」の名で紹介した一品で、今なお「みんなのきょうの料理」サイトでも高アクセス数を誇る。(撮影:尾田学)
※つくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理』2020年6月号より
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城戸崎さんの番組初出演は1971年。まだ西洋料理が大いなる憧れだった時代でした。その手から生み出される白くなめらかなベシャメルソースやぶどう酒色の煮込み、黄金に輝く塊肉のローストは主婦たちを魅了。日本の食卓に夢を与え、その夢を主婦が台所で実現するために、数々の本場の技術を惜しみなく披露してくれました。
また「国は違っても長く伝えられてきた家庭料理の原点はそう変わらない」という持論のもと、季節感あふれる昔ながらの和の総菜も指南。「誰でも最初は初心者。まねから始めればよいの」と若いビギナーを勇気づけ、自身が高齢となってからは料理がおっくうになった同世代に向け、無理せず日々の食を整える知恵を伝授しました。
幅広い世代に愛されたのは料理のみならず、歯切れのよい語り口や包み込むような人なつこい笑顔。その笑顔は実は、20歳代で結核、30歳代で子宮がん、60歳代で糖尿病と、数々の大病を乗り越えた末のものでした。「生きることは食べること」を身をもって実践し、次世代に「まっとうな料理」を伝えていくことに心を砕いた、約60年の料理家人生でした。
「料理は愛情と知恵と工夫の産物」。昭和の時代から城戸崎さんが繰り返し説いたこの言葉は、令和の世にあってなお深く響きます。料理はつくり手の写し鏡。お人柄そのままの温かみと品格、そして食べ手への愛に満ちた一皿一皿を、私たちは忘れません。
ご冥福をお祈りいたします。(編集部)
■豚肉のオルロフ風
1993年5月号「創刊35周年特別企画」で紹介した、在パリ時代からつくり続ける献立のメイン料理。クラシカルなエッセンスあふれるごちそう。(撮影:佐伯義勝)
■鶏肉のしょうゆ煮
2003年6月号「六月の献立」で掲載の和風献立の主菜。昔は「かしわの紫煮」の名で紹介した一品で、今なお「みんなのきょうの料理」サイトでも高アクセス数を誇る。(撮影:尾田学)
※つくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理』2020年6月号より
- 『NHKテキストきょうの料理 2020年 06 月号 [雑誌]』
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