一歩一歩揺るがない姿勢を貫く武井太心初段

撮影:小松士郎
新入段した棋士を師匠が紹介する連載「師匠が見た!NEWフェイス」。今月号は、洪 清泉(ほん・せいせん)四段が、武井太心(たけい・たいしん)初段について語ります。

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太心を見れば「牛歩千里」という言葉が浮かびます。道場での勉強日は雨が降っても雪が降っても、いつも同じ時間に来て、同じ時間に帰ります。ピカピカの才能があっても努力を怠り、そのまま散っていく天才を無数に見てきました。一歩一歩を大切に、毎日少しずつでも歩けば必ず目的地に着きます。プロを目指す子なら当然ですが、揺るがない太心の姿勢を私は高く評価します。
太心の棋風はゆっくり長く粘ります。院生時代に手合いであまりにも秒読みで長く打ってしまい、院生の持ち時間が変わったという噂(うわさ)もあるくらいです(笑)。その丁寧さこそ太心の持ち味です「最後の最後まで最善を尽くす」という道場の教えがありますが、太心はよく実践しています。一時的な輝きよりも時間がたつほど味が出る、そういう碁だと感じています。
最近、太心に今後のことを聞いてみました。太心が珍しく「高校をもうすぐ卒業するので、より囲碁の勉強を頑張ります」と言ってくれました。うれしかったですね。あまりそういう表現をしなかった子だったので、本当にうれしかったです。自主的に考えて動く人は、必ず成し遂げます。太心の夢、必ずかなうと思います。心いっぱい応援しています。
■『NHK囲碁講座』2020年3月号より

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