“生きるアート”盆栽のケア方法

石化ヒノキと流木。近づいて見ると、丘にそびえる大木の風景だが、離れて見ると、舟形の鉢を使っているので木がマストの帆船のようにも見える。敷物も波のよう。こんな遊び心もあっていい。樹高14cm。鉢:幅17cm×奥行き11cm。撮影:田中雅也
“生きるアート”として世界的ブームとなっている盆栽。難しそうだし、高価だしと尻込みしている人も多いのでは? でも、手ごろな価格のミニ盆栽でも、石や流木を添えるだけで、景色ができ上がります。そして、組み合わせを変えれば、景色もさまざまに変化します。自分だけの景色をつくって楽しみましょう。盆栽家の中川竹春(なかがわ・たけはる)さんに、盆栽のケアポイントを教えてもらいました。

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鉢で育てた植物で自然の風景を表現する盆栽は“生きるアート”といわれます。また盆栽は、小さな鉢の中で四季の移ろいなど自然の営みがなされ、見ている私たちをゆったりとした時間の流れに導いてくれる“癒やしのアート”だともいえるでしょう。
雄大な自然の風景が見えてくるような本格的な盆栽に仕立てるには、長い年月がかかります。ところが、木だけではまだまだ物足りなさを感じるミニ盆栽や盆栽素材用の苗木でも、石や流木などと組み合わせると、不思議なことに自然の風景ができ上がります。

■アートを楽しむためのケアポイント

水やり
ミニ盆栽を枯らす原因のほとんどは、水切れです。ミニ盆栽は鉢が小さく、用土の量が少ないため、とても乾きやすいのです。鉢土の表面が乾いたら、たっぷり水を与えましょう。松柏類は比較的乾燥に強いですが、晩春から初秋のころまでは、晴れた日は1日2回の水やりが必要です。2回の水やりが難しい場合は、下写真のような工夫をすれば用土の湿り気を長く保つことが可能です。



葉すかし
クロマツやアカマツに行う作業で、枝先の葉が5対になるように葉を摘み取ります。芽に行く力を均一にし、各芽の成長をそろえるのが主目的です。日当たりや風通しの改善にもなり、木が健康に育つのを助ける働きもあります。
残す葉数を調整すれば、芽の伸びを調整することもできます。葉を多く残すことで、力が強くなり芽の成長が促されます。よって弱い芽も元気に育つことになります。

 


※テキストではミニ盆栽や苗木から自分好みの景色をつくる手順を詳しく解説しています。
■『NHK趣味の園芸』2020年2月号より

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